2012年4月2日
『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』三上延
2009年創刊のメディアワークス文庫というレーベルで刊行され、現在大ヒットしている作品を今回はおすすめしたい。
本書は古書にまつわる文学ミステリーである。舞台は神奈川県北鎌倉にあるビブリア古書堂。そこへ持ち込まれる古書にまつわる謎と秘密を古書に関しては並大抵ではない知識を持つ店主栞子が解き明かしていく。
発売後瞬く間に話題となり、幅広い層の読者の心を打ち、シリーズ累計売上100万部を突破している。この優しい雰囲気と丁寧な描写にひき込まれた。人と本とのつながりから生まれた謎を魅力的に描いている。作中に登場する古書はすべて実在する本を扱っており、栞子による解説も興味深い。
ライトノベル的な装丁ではあるが、馴染みのない方にこそ是非手に取っていただきたい。
アスキ-・メディアワ-クス/ISBN:9784048704694
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.209(2012年04月02日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 村山