今回紹介するのは、氏が1986年秋から1989年秋にかけての3年間を、主にイタリア、ギリシャで過ごした旅行(生活)記。この間に『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』が書かれました。と言っても、小説をものするときの懊悩、なんて堅苦しいテーマはなくて、軽妙な語り口で外国生活での喜怒哀楽が描かれています。鷹揚なギリシャ人とのエピソードは、世界をにぎわしているかの国の経済がどう成り立っていったかがわかるような気になります。
私たちも外国で暮らしていますが、住んでいると始めは珍しかったこともすぐに日常になってしまいます。少し気分を変えたいとき、このエッセイがお勧めです。
講談社/ISBN:9784061853829