2013年1月21日
『奇談蒐集家』太田忠司
『求む奇談、不可思議な体験を話してくれた方に高額報酬進呈。ただし審査あり』という新聞の募集広告を目にし、ある者は金額に目がくらみ、ある者は話を聞いてもらいたいという一心で、募集主である奇談蒐集家のいる酒場を訪れる。
「パリで出会った運命を予見できるという魔術師の正体」 「少年探偵団の前で少女の死体と入れ替わりに姿を現した魔人」 「鏡に映る美しい古道具屋の姫君との恋」など、謎に満ちた体験談を訪れた者たちは奇談蒐集家とその助手に披露する。 しかし、その奇談は審査する助手によって合理的に解き明かされ、その見事なまでの安楽椅子探偵のような推理には舌を巻くばかり。
全7篇で構成される連作短編集となっており、全ての物語が不思議で魅惑的、ただそれだけでは終わらないのが太田忠司。 最後に待っている新たな奇談にきっと驚かされることでしょう。ただし、必ず順番どおりに読んでください。
東京創元社/ISBN:9784488490096
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.227(2013年01月21日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 村山