2025年6月9日
アジア諸国、ドル依存を見直し―人民元・金・ビットコインが新たな選択肢に
アメリカの金利高止まりや地政学リスクの高まりを背景に、アジア各国・投資家は外貨準備や資産運用の軸を「ドル一極」から多極化の流れに。
その背景として、ドルは依然として基軸通貨ですが、万能ではないという空気が急速に広がっていおり、アナリストの最新調査によれば、シンガポールやインドネシア、日本などがこの半年でドル準備比率を数ポイント引き下げ、代わりに他資産を積み増しています。
報告書によると、「ドル依存度が下がる一方、地域の通貨バスケットと現物資産が台頭している」と指摘されており、そうした背景からアジアでは「米ドル一強」に対する危機感が一気に高まっているのです。
また、米国の高金利政策や関税強化で資金コストが読みにくくなったことも関係しています。
ロイター通貨調査では、台湾ドルやフィリピンペソなど9通貨が強気ポジションへと台頭し、ドル売りが鮮明になったのです。
この動きは単なる為替相場の波ではなく、エネルギー取引やインフラ案件の決済通貨を見直す「通貨分散」の一環と指摘されています。
各国が法定通貨の分散を進める流れのなかで、国境を越えて素早く決済できる仮想通貨は「第三の分散先」として存在感を高めています。
とりわけ新規上場を控えたトークンは、早期参入による値上がり益やユースケース拡大の恩恵を享受しやすい点が魅力です。
最新の仮想通貨の動向を追いたい方は[新しい仮想通貨の上場予定一覧]もぜひご参照ください。
人民元の国際化と貿易決済の変化も見逃せず、人民元建て取引が「選択肢」の1つから「標準」に近づきつつあります。
SWIFTのRMBトラッカーによれば、2025年1月の人民元決済シェアは3.79%で過去最高水準を更新し、さらに中国はASEAN諸国と通貨スワップ枠を4.3兆元まで拡大し、デジタル人民元の越境テストを加速させる一因に。
シンガポールやインドネシアでもインフラ輸入契約を人民元建てで締結する事例が増え、為替ヘッジ費用を抑えたい企業に支持されています。
中央銀行の金買い増しが示す安全志向も無視できず、金は「無国籍の資産」として再評価され、アジアの準備資産構成を塗り替えており、世界の中央銀行は2024年に1,044トンを購入し、2025年も第1四半期で高水準を維持しました。
インド準備銀行は2025年3月末までに54トンを追加し、保有額を前年同期比57%拡大させており、また、中国人民銀行も1月に5トンを買い増し、公式保有量を2,285トンへ引き上げました。
これらの動きは、金融制裁リスクを懸念する政府が「信用リスクゼロ資産」を厚くする流れとピタリと一致します。
昨今におけるビットコインの役割拡大と今後の注目点をおさらいすると、デジタル資産としてのビットコインが「第三の分散先」として急浮上。
ビットコイン価格は年初来7万ドル前後を維持しながらも高い出来高を維持し、機関投資家の回転率は過去最高に迫ります。
2025年5月28日にパキスタン政府は国家準備にビットコインを組み込む方針を発表し、2,000メガワット相当の電力をマイニング施設に割り当てる計画です。
規制面では日本やシンガポールの大手証券会社がカストディ業務を拡大し、貿易決済にステーブルコインを組み合わせる実証実験も進行しています。
ビットコインは今や世界経済の第三の防波堤となり、資本分散と成長機会を同時に開く鍵となり、今後も注視が欠かせません。