本書は5つの短編からなる恋愛小説集で、表題作の「吉祥寺の朝日奈くん」は映画にもなっていて、評判も良かったようだ。
ちょっとしたミステリ仕立てで、友情や、恋の始まり、愛について描かれている。おすすめは「三角形はこわさないでおく」。高校生の男女3人の話なのだが、ゆっくりと互いをせかすことなく、惹かれあっていく3人の関係は、せつなく美しい。
道具立てや設定は少し現実離れしているように感じるところがあるが、話が面白くて、そこにある感情がしっかりと描かれているので、共感できた。甘い雰囲気があまりないので、恋愛小説が苦手な人にもお勧め。
祥伝社/ISBN:9784396338022