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2022年6月30日

日本人がシンガポールで暮らすメリット&デメリット

アジアきっての先進国シンガポールは非常にコンパクトな国土ながら、税制優遇などによって世界各国の企業から注目を集めると共に、革新的なスタートアップを支援し、「アジア地域のハブ」として強い存在感を放ってきました。
 
日本でもシンガポール航空が各都市から毎日のように直行便が飛んでおり、赤道直下の常夏の気候ゆえ観光地として人気があります。またユニークな文化を持ちながらも比較的住みやすい移住先としても注目されています。
 
コロナ禍で海外への渡航や移住の計画を考え直さざるを得なかった方もいるかもしれませんが、日本も徐々にコロナ前の生活へと戻る方法が模索されているこのタイミングにあわせ、ここでシンガポールで暮らすメリットとデメリットについて、書いてみたいと思います。
 
こういった記事だと長所から始めているのをよく見かけますが、たまには短所から始めて、長所で締めくくりたいと思います。
 

【短所】

物価が高い

一つ目に上げたいのは物価の高さ。税金が安いのとは裏腹に、物価は高いと言われるシンガポール。エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)がまとめた世界生計費調査(2021年)ではシンガポールは2位にランクインしています。
 
特に家賃に関しては日本は世界の先進国の中でも安い方で、アメリカやスウェーデンで生活経験がある筆者は、いずれも東京で払っていた家賃と比較して驚いたものですが、シンガポールも、日本と同じ水準の価格帯を期待していると、痛い目にあうことになってしまうかもしれません。
 

生活上のルールが少し厳しい

安全で高い質の生活を保つために、こちらは必ずしもデメリットと言えない部分もあるかもしれませんが、シンガポールでは医療用を除くチューインガムの販売が禁止されていたり、道で唾を吐くと罰金になるなど、厳しいルールが存在しています。
 
またエンタメについても、シンガポールでは観光客をターゲットとして、2箇所の合法的なカジノが設置されていますが、いずれも非居住者(海外からの旅行者)は入場無となっている一方で、居住者は割と高額な入場料の支払いが課せられています。
 
また日本で最近話題となっている、ネット環境さえあればどこでもプレイできるオフショアのオンラインカジノについても、シンガポールでは政府が積極的に遮断するという対応を取っているようです。『Online Casino Japan』のようなサイトでも、オンラインカジノの合法性について書かれていますが、日本では法的にグレーゾーンとされ、政府が率先して遮断するなどの措置は特に取られていません。こういったところにも、シンガポールは厳し目な対応が見られます。
 

休暇のアクティビティが限られる

シンガポールは一つの街が一つの国と言うこともあり、その広さは東京23区をやや上回る程度。やはり北海道から沖縄まで、温泉から大自然、大きな都会まで、海外に出ることなく旅行の行き先がたくさんある日本とは勝手が違います。
 
筆者がシンガポールで訪れる際は弾丸旅行が多いので、見たいところを訪れ、行きたいレストランにいっておいしい食事をするので、もっと長くいられたらと思いながら帰って来るのですが、留学などでシンガポールに長く滞在していた友人などは、口を揃えてそろそろ飽きた、と言っていたことを思い出します。
 
ただし他の東南アジアの国が近いので、そういった近隣の国に簡単にアクセスできるのは逆に長所と言えるかもしれません。
 
ここまで少し不便なところや大変なところを書いてきましたが、ここからは長所です。日本人にとって、シンガポールはこんな素敵な場所でもあります。
 

【長所】

治安の良さ

シンガポールは治安の良さでは、アジアだけでなく、世界的にみてもトップクラスです。筆者が初めてシンガポールを訪れた時も、非常に活気のある雰囲気ながら、身の危険を思わせるような怪しい雰囲気もなく、全体的に安全な空気を肌で感じました。「World Population Review」の2022年統計では、世界で最も安全な国第7位(日本は9位)にランクインしています。
 
特に家族を連れての移住を考えている方にとっては安全は最優先事項のはず。安全がある程度常識となっている日本から海外へと行く場合、どうしても治安は気になるものですが、日本と同程度の安全性だとわかれば、安心感がありますね。
 

食が充実している

国民の3分の2を占める中華系の他、多くの民族が共存するシンガポールでは、さまざまな料理を手軽に食べることができます。
 
筆者はシンガポールの名物「海南チキンライス」の大ファンで、初めて地元のフードマーケット「マックス・ホーカーズ」で口にして以来、シンガポールに行くたびにたらふく食べ、日本に帰ってもシンガポール料理レストランに足繁く通うほどになりました。シンガポールは高級レストランからストリートフードまで、種類も中華料理、インド料理や、マレー料理など、あらゆる人のお腹を満足させられる料理があると言っても過言ではないでしょう。
 

税金が安い

上の二つは旅行者にも魅力的な長所ですが、こちらはより移住を考える人向け。シンガポールは税金の安さでも知られています。例えば、日本で最高税率55%にもなる贈与税、そして相続税はシンガポールにはありません。また個人の所得税も、日本の最高税率45%に対し、シンガポールではわずか22%。というわけで、節税のためにシンガポールへの移住を検討するという声が多いのも頷けます。
 
ただし贈与税・相続税に関しては、日本には「10年ルール」というものが存在しています。こちらは海外に住む日本国籍保持者が資産を親族に相続させる場合、日本の贈与税・相続税の課税対象から外れるためには、海外に最低でも10年以上住む必要があるというものなので、要注意かもしれません。
 
ちなみに日々の生活に直結する消費税についても、現在のところシンガポールでは7%と日本に比べても低め。ただし、今年2月に税率の引き上げが発表され、23年1月から8%に、24年1月より9%へと、2段階で引き上げられるそうです。それでもまだ日本よりはわずかに低いですが。
 

世界有数の医療システム

さて海外移住を考えるにあたり、心配になるのは移住先の医療システムではないでしょうか。この記事の最後の長所として挙げたいのは、世界トップクラスと言われるシンガポールの医療システムです。
 
ブルームバーグがまとめた「世界で最も効率的なヘルスケアシステム」ランキング(2019年)では、シンガポールは香港に続く第2位にランクインしており、その質の高さが窺えます。一方、コロナ禍の各国の対応を考慮してランク付けされる「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」では12位となっています(アジアでは韓国が6位で最高)。
 
ここでは日本人がシンガポールで暮らすにあたり感じるであろう長所と短所について書きました。日本を離れて暮らすには何かしらの不便がつきものですが、それを上回る素敵な経験もたくさんできるはずです。いきなり長期の移住ができなければ、数日の滞在でもまず行ってみることをおすすめします。その良さがきっと感じられるはずですよ!

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