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健康相談Q&A

2020年7月16日

緊張型頭痛のメカニズムと治療法

 「緊張型頭痛」は慢性頭痛の7~8割を占めるもので、小学生~お年寄りまで幅広い層に起こり、「国民病」のひとつといってもいいでしょう。「鉢巻きで頭全体を締め付けられるような痛み」が特徴で、数時間~1日中続き、時には数カ月に及ぶこともあります。また、「首や肩が凝る、めまいを伴う」といった症状もみられます。
 

原因

 起こるメカニズムは頭の筋肉の緊張です。その原因は精神的ストレスや身体的ストレスで引き起こされる肩及び首周辺の筋肉(僧帽筋、後頭筋、側頭筋)の凝りとされています。凝り、つまり筋肉が緊張すると血管が圧迫されて、血流の流れが悪くなります。すると筋肉から排出される「疲労物質」が溜まって、脳に影響を及ぼし、脳にある“痛みを調節する機能”がうまく働かなくなってしまいます。その結果、痛みをもたらす刺激が無くても、毎日のように頭痛を起こす状態を引き起こします。
 

治療方法

 対処法(治療)としては、まず、原因となる2つのストレスをコントロールすることが何より大切です。
 
 では、どうするか?よく言われるのは「頭痛日記」なるものをつけて、どんなことが自分のストレスになっているのかを見極めることです。それをもとに生活習慣を改善して、ストレス軽減を図る、というものです。身体的ストレスに関しては、姿勢、長時間のパソコン作業等の負担因子の軽減とともに、関連部位の血液の循環を促進して筋肉をほぐすような、マッサージ、体操、ストレッチ、スポーツ等が効果的です。精神的なストレスに関しては、全くゼロにすることは難しい場合が多く、乗り越えるか、受け入れるか? 逃げ出すか? どのようにそのストレスと向き合うのかが鍵になるでしょう。
 
 ただ、実際、患者さんの診療に携わってみると、身体的因子と精神的因子が複雑に絡み合っていて、なかなか、“原因因子としての本当のストレス”にたどり着けないケースも多々あります。そういう意味でも「頭痛日記」は治療の大きな助けになりますから、頭痛持ちの方は一度トライしてみてください。上記の努力でも改善しないケースにはそれぞれのストレスに対して薬物療法を用いますが、これもまた、前回ご説明した片頭痛に対するトリプタン系製剤ほどの効果を期待することは難しい現状です。
 
 私たちが日常診療の中で、最も出会う頭痛がこの「緊張型頭痛」です。治療する方にも、される方にも、憎ったらしい奴ですが、案外、患者さんの精神的、肉体的バロメーター、警告ランプの役割をしているような気がします。頭痛に目くじらを立てる前に、頭痛が伝えたがっていることに耳を傾ける余裕が必要なのかもしれません。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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