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健康相談Q&A

2020年6月10日

空腹時血糖は正常範囲だが、HbA1cが高値…糖尿病の診断基準とは

 血糖値は変動しやすく1回の測定では慢性的に血糖値が高いかどうかわからないため、今までは別の日に測定した2回の血糖値で糖尿病を診断していました。しかし、糖尿病の新しい診断基準では血糖値に加えて、過去1~2か月間の血糖の状態がわかるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も測定して1回の血液検査でも糖尿病が診断できるようになりました。健康診断では空腹時血糖値とHbA1cを同時に測定し、両者に異常があればその時点で糖尿病と診断できます。
 
 今までの日本でのHbA1c値(JDS)はシンガポールなど海外の国際標準値と異なり、同じ血液を測定してもJDS値の方が国際標準値よりも0.4%低いので注意して下さい。
 

糖尿病の診断基準

 血糖値が①~③のいずれかに当てはまり、かつHbA1c(国際標準値)≧6.5%で糖尿病と診断されます。(注:HbA1c(JDS値)では6.1%以上)
 
 ①早朝空腹時血糖値≧126mg/dl
 ②随時血糖値(食事に関係なく測定)≧200mg/dl
 ③75gブドウ糖内服後2時間血糖値≧200mg/dl

 

注意事項

 ・血糖値かHbA1cの一方だけが当てはまる場合は、別の日に再検査を行います。
 ・血糖値のみ①~③の基準のいずれかに当てはまり、かつ「糖尿病の典型症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)がある」、「確実な糖尿病網膜症がある」のいずれかに当てはまる場合も糖尿病と診断されます。
 ・妊娠中の方は糖尿病診断基準の値が異なります(妊娠糖尿病と言います)。
 

糖尿病予備軍について

 空腹時血糖値が110~125mg/dlの場合を「空腹時血糖異常(IFG)」、ブドウ糖負荷後2時間血糖値が140~199mg/dlの場合を「耐糖能異常(IGT)」と呼びます。この2つの状態は正常と糖尿病の境界域であり、糖尿病に進展する危険が高く、メタボリックシンドロームと関連する可能性があります。
 
 空腹時血糖が正常でもHbA1cが高値の人は、食後に血糖が高度増加する耐糖能異常が疑われますので確定診断のためブドウ糖負荷試験をお勧めします。若い世代ではこの種の糖尿病が増えています。早期発見のため自己血糖測定器を使って食後の血糖値を測定しましょう。血糖値が200mg/dl以上の場合は、糖尿病の疑いが強いので医療機関を受診してください。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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