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2018年10月30日

シックス・アヴェニュー

 2015年に新設された、青のダウンタウンラインが通る『シックス・アヴェニュー』駅。シンガポール屈指の高級住宅街ブキティマの中にあり、緑が多くこじんまりとした佇まいのエリアだ。付近にはラグジュアリーな一軒家が並び、欧米人駐在員が多く住む地域らしく派手ではないけど少しおしゃれなレストラン、カフェが見られる。ちなみにシックス・アヴェニューは、本来この駅の近くにある道の名前。ファースト・アヴェニュー、セカンド……と数字がついた名前の道が、駅から数分の範囲にまとまって存在する。シックス・アヴェニューには一体何があるのか?早速見てみよう。

 

歴史と住宅街化した背景


 

 シックス・アヴェニュー1は、ブキティマ・ロードからの行き止まりを解消する目的で1930年代後半に建設された道路で、後にホランドロードとも繋がるように延長された。1966年に建設された『Masjid Al-Huda(マスジット・アルフダ)』モスクや1902年建設の『Hoon San Temple(フーンサン・テンプル)』寺など宗教施設も近い。

 

 19世紀後半には、大豆を発酵したケーキを生産販売する村を含む4つの村からなる『Kampong Tempeh(カンポン・テンペー)』が存在していた。不動産開発業者から土地買収の働きかけが多く、1984年までには、このカンポンエリアには18の木造家屋が残されるのみとなった。しかし残されたカンポンの住民は、ここの暮らしが大変気に入っていたため、土地売却と移転を強靭に拒否したという。1980年半ば、政府は木造家屋を不法とし、現代的な基準に合うように再建築するよう土地所有者に働きかけた。遵守した住民は少なく、その他の住民はついにカンポンを去っていった。

 

 1988年には、Ministry of National Development(国家開発省)がブキティマ・エリアを低・中密度住宅地とすべく再開発を始動。それまで活発だった産業活動が段階的に制限、廃止となる。URAはさらに、地域から工業用建造物が立ち退くようインセンティブを与えた。近くに郵便局やスーパーマーケットを建設するなど、地域住民の利便性も向上していった。

 

 1991年にはURAがシックス・アヴェニューの土地1.67ヘクタールを、個人宅建設用に売りに出した。不動産業者Ng Teng Fongが土地を購入し1996年にRegent Villasというセミ・デタッチドハウスの数々を建設。現在Regent Villasの一つは土地面積3,340sqftの物件が、387万Sドル(約3億1千万円)で売りに出されている。

 

 そんな高級住宅街だが、シックス・アヴェニューを実際に歩いてみると、ちょっと不思議なことに気づいた。シックス・アヴェニュー付近に5つある道路の名前が全て“L”から始まる植物の名前になっている。シックス・アヴェニューに接する“Lemon Avenue(レモン・アヴェニュー)”、“Lotas Avenue(ロータス・アヴェニュー)”2など可愛らしい名前の通りに、一軒家が並んでいる。どの家にも植物が飾られている、素敵な通りだ。

 


 

住民に愛される店が並ぶブキティマ・ロード

 

 ブキティマ・ロードは、3車線であり、交通量も多いが歩道は、きれいに整備されており、雨天時も雨をしのぐことができる屋根付きとなっている。駅から少し歩くとシックス・アベニューのオシャレなワインショップ『1855 The Bottle Shop』3の看板が目に入ってくる。

 

 お店のアンドリューさんに話を聞くと、「今週金曜(10月5日)で閉店なんだ。自社で土地を所有していたけど、Toast Boxが高額で土地を買ったので、もうすぐここはToast Boxになるよ」と残念な答え。長年地域住民に愛されてきたショップだけに、閉店を惜しむ声が多いとか。ただ、ライセンス契約がうまくいけば、この近くにまた移転が可能なので、現在準備中。

 

 駅の近くをうろつくと、ひときわ目立つのがこの自転車ショップ『Bikehaus(バイクハウス)』56。中に入ると常連で近所に住む欧米系女性が、自転車の修理に訪れていた。店のオーナーは、この地に店を構えてもう20年になると言う。MRT駅開設後、客足が伸びたか変化について質問すると、そんなに大きな変化を感じないとの答えで意外だった。きっと、この時訪れていた女性のような、昔からの近隣住民の常連が多い店なのだろう。シックス・アヴェニューは、このように小さくて地域住民に長く愛されている店・場所の宝庫のようだ。
 

 

ウッドランズのおすすめスポット
Caruso (カルソ)

 オーセンティックなイタリア料理を気軽に食べたいなら、こちら。家庭的な雰囲気のお店で、月曜から金曜には2コース24Sドル、3コース28Sドルのお得なランチセットがおすすめ。筆者はパルマハムとメロンの前菜に、牛ほほ肉の煮込みにローズマリーポテトの付け合わせを完食。ホロホロととろける肉にリッチな味わいのグレービーが絡み付いて、幸せな気持ちに!ハッピーアワーやサンデーブランチもあり。オーナーのLeonardo(レオナルド)さんが気さくにテーブルをまわり話しかけてくれることも、好印象。
 

 

Caruso
#01-01 791 Bukit Timah road, Singapore 269764
TEL:6469 7508
https://www.caruso.sg/

写真・取材:舞 スーリ

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