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2017年12月24日

新年に読みたい1冊

新しい年を迎えてちょっと身が引き締まる今こそ、読書はいかがですか? シンガポールで活躍している12名の方々に、おすすめの本を聞きました。新しい刺激やアイディアを与えてくれる1冊がきっと見つかりますよ。

 


 

web329_1_91Wf-EvSuvLweb329_1_MrAketa三井物産株式会社 理事
アジア・大洋州副本部長
シンガポール日本人会 会長
緋田 順さんのおすすめ
『男の粋な生き方』
石原慎太郎(著) 幻冬舎
ヨットとダイビングを愛する“海の男”が、自らの“綱渡り人生”を振り返りつつ、酒、スポーツ、貧乏、恐怖、挫折、教養、哲学、出会い、男と女、別れ、動物、リーダー等の様々なテーマ毎に率直な想いを綴っています。少々型破りな著者が繰り出す軽妙な文章には最近は余り聞かなくなった”男の覚悟”や”男の宿命”が散りばめられています。新年にあたり、自らの人生を振り返り、これからの人生に思いを馳せ、”男の生きざま”に付いて考えてみたいと思います。海を舞台にした様々なエピソードも愉しみですが、海好きな方には同じ著者による「私の海の地図」もお勧めです。

 


 

web329_2_MsFukuiMusashi Paint Pte. Ltd.
President-CEO
福井 裕美子さんのおすすめ
『 「ザ・会社改造」340人からグローバル1万人企業へ』
三枝 匡(著) 日本経済新聞出版社
これは、2017年3回読んだ本です。2018年冬休みの時間のある時に落ち着いてもう一度読みたい本として紹介します。会社成長のためのビジネス書が多様にある中、この本は今ある社内のリソースをさらに活用するためのヒント、その後の成長ストーリー、ひらめきをビジネスに変える度胸と賭け。その中で起きる失敗や時間の読みの甘さ。これらが実話に基づき小説仕立てで読みやすく書かれています。
サラッと読んでしまえば、会社成長のためのフィクションにすぎませんが、自分の会社と重ねてじっくり読むと、ビジネスパーソンに必要な視点、思考力、行動力、時間の価値を学ぶ良著であることは間違いありません。

 


 

web329_3_MsInada_bookweb329_3_MsInadaSaintmarc South East Asia Pte. Ltd.
General Manager
稲田 早苗さんのおすすめ
『Sophie’s World: A Novel About the History of Philosophy』
Jostein Gaarder(著)、 Paulette Moller(訳) Farrar, Straus and Giroux (FSG)
1995年に「世界で一番優しい哲学書」としてノルウェー語から翻訳版が発売され、英語の勉強にと手にしたのが1998年。それから2年に一度は読み返す本となりました。自分の歳や仕事、環境が変化するように、この本に対する意味や感想が変化し、社会人になってからの自分はこの本と共に成長しているといっても過言でありません。様々な情報が世の中には溢れていますが、自分は誰なのか、どんな人になりたいのかを問い続けることにより、何をしていても、どこにいても、何があっても、存在意義のある人間として生きていけるとこの本が教えてくれているように思います。

 


 

web329_4_81KbOXa9DgLweb329_4_MrMaruimoケルビン・チア・パートナーシップ法律事務所
コーポレート・アフェアーズ・ディレクター
丸茂 修さんのおすすめ
『シンガポール謎解き散歩』
田村慶子・本田智津絵(著) KADOKAWA/中経出版
最初にシンガポール、パヤレバ空港に降りたのは1974年。シンガポールに着任したのは1980年代。元来探検好きでそれ以来シンガポール探検を続けてました。シンガポールの歴史、文化、自然、生活、施設等を地場発行の書籍・資料、地場の友人を通じて仕入れた情報を基に歩き廻りました。ご紹介の本は2年前に手に入れましたが、私の探検はかなりアバウトであった事を認識させられました。以来この本を基に探検し、それなりのシンガポール通になったと自負してます。この本のコラムに記載の情報にも味があります。2018年はこの本を片手に、シンガポール通を目指してシンガポール探検を楽しんでは如何ですか。

 


 

web329_5_71SADAAgAVLweb329_5_MsIizukaシニアトラックライダー
調教助手
飯塚 千裕さんのおすすめ
『リー・クアンユー自選語録 リーダーシップとはなにか』
リー・クアンユー(著) 潮出版社
2014年に発行されたシンガポールのリーダーからの心得が多く記載され、これからの社会における変化に対してよい助言になるかと思います。古き良きところを残しつつ、未来に繋がる良き変化を、やる気を起こさせてくれる本です。
シンガポールを独立させて、1から築くに当たり 彼は、「我々はどんな苦境に置かれても正気でいられる理性的な者です。」と説いています。上に立つ者としての自信が、周りを信じ、彼を指導者として成功させました。
古き良きところを残しつつ、 未来に繋がる変化をし成功した志は、どの企業にも通じる物があるのではないかと思いお勧めいたします。

 


 

web329_6_71Te209N5OLweb329_6_MrHigurashi日本人会クリニック
医師、鍼灸師
日暮 浩実さんのおすすめ
『思い出の昭南博物館 ~占領下シンガポールと徳川侯』
E.J.H. コーナー(著)、石井 美樹子(訳) 中公新書
嘆かわしいことに、現在でも世界各地で様々な対立が起きている。だが、もし、皆が世界市民という意識を持つようになれば、そうした争いを超越できるかもしれない。シンガポールは元々、多民族多言語国家である上、今では外国籍の人が居住人口の約40%にまで増えており、世界市民意識を育むには適した環境といえるだろう。この本は、第二次世界大戦という困難な状況下、シンガポール博物館を舞台に、敵味方を超越して貴重な文化遺産を後世に残そうと奮闘した人々の崇高な活動を伝えている。対立が頻発する現代、大切なものを思い起こさせてくれる本として推薦したい。

 


 

web329_7_MrShimizu_bookweb329_7_MrShimizu小沢・秋山法律事務所
弁護士(日本・米国ニューヨーク州)
清水 洋介さんのおすすめ
『世界史の大転換 ― 常識が通じない時代の読み方』
佐藤 優、宮家 邦彦(著) PHP新書
アメリカのトランプ政権誕生、イギリスのEU離脱、中国やロシアの拡張主義的な動き、中東の混乱など、近年の国際情勢を見ていると世界は大きな変動期にあるように思われます。日々のニュースをただ眺めていても、これらの出来事の本質を理解することは困難ではないでしょうか。本書は、2人の元外交官による対談形式により、こうした国際情勢を分析しつつ、理解に必要な視点(本書では「歴史的大局観」と表現)を読者に提供しています。各地域に関して外交のプロ同士が競うように知見をぶつけ合っており、密度の濃い1冊となっています。国際情勢に関心のある方にぜひおすすめしたいと思います。

 


 

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Director
植村 稚子さんのおすすめ
『The Art of Charlie Chan Hock Chye』
Sonny Liew(著) Epigram Books and Pantheon Books
シンガポールに長くお世話になっている身として、今までもシンガポールの歴史には深く興味があり様々な書籍を読んできました。そんな中でもこの本は、コミックながらにフィクションとノンフィクションが絶妙なバランスで描かれており、その時々の時代背景と人々の暮らしが手に取るように経験できました。 色々な立場の人間からみたシンガポールの歴史を改めて垣間見て、益々この国に興味が湧きました。

 


 

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Managing Director
鳥羽 聡一郎さんのおすすめ
『シンギュラリティは近い、人類が生命を超越するとき』
レイ・カーツワイル(著) NHK出版
AI(人工知能)が天才棋士を負かし、車の自動運転が現実になる今。つい最近耳にしたAIが、世の中を変えるスピードに戸惑っていませんか?AIの世界的権威でGoogle社のAI開発の指揮を取る著者が2005年に出した著書の要約版です。バイオテクノロジーとAIの加速度的な進歩が私達の生活を、人類の運命をどう変えるのか。明解な論理に基づく予見は、私の予想を遥かに超え、2045年には特異点(シンギュラリティ)を迎える。たった1,000ドルで買える一台のコンピューターが全人類の知性をも凌駕する!哲学書やSFとして読むもよし、一年の計を決める指南書になるかも。未来に思いを馳せる一冊です。

 


 

web329_10_81OsJ1oHuJLweb329_10_MsSachiyoシンガーソングライター
音楽プロデューサー
シンガポールセミナー講師
Sachiyoさんのおすすめ
『サヤン、シンガポール:アルフィアン短編集』
アルフィアン・サアット(著)、幸節みゆき(訳) 段々社
2015年に日本語訳の本書が出版される際、「この国に関わりの深い人に読んで頂きたい」と出版社からご紹介頂きました。日本語で読む事が出来る数少ないシンガポール現代文学書です。シンガポール屈指の劇団W!LD RICEの座付き作家が、繁栄の陰に生きる様々なシンガポーリアンの姿、リアルな感情を12編の短編集に慈しみを込めて描いています。この国に生活し、この国の人々と協働するために大切な、ローカルの視点、特に「大衆」の考え方を知ることができる本書を、在星日本人の方々にぜひ読んで頂きたい。異論を許容する真の意味の多様な社会とは何かという事を考えさせられる一冊です。

 


 

web329_11_41079pBDabLweb329_11_MsJuneKOSÉ SINGAPORE PTE LTD
SALES MANAGER
ジューン・ンさんのおすすめ
『The Art of Thinking Clearly』
Rolf Dobelli(著) Harper Paperbacks
管理職として多様な人々と働く中、社内外の交渉やスタッフ問題で疲弊することもあります。そんな時に私をリセットしてくれるのが、この本です。本では認知バイアスの事例を、多数紹介。例えば、幸運に得たお金は努力して働いて得たお金よりも軽く扱われることなど。多くのマーケッターは、このような認知バイアスをプロモーション戦略に活用しています。マイル獲得と引換えに、航空会社が頻繁な広告を提示するのも、その一つ。リスクと不確実性の違いとは、なぜ人は現状維持をしたがるのか、最後のチャンスと言われると慌てるのか……掲載された多くの事例が、きっとあなたの考え方や物の見方を変えてくれるはずです。

 


 

web329_12_71ET-OBfD6Lweb329_12_MrHiramatsu三菱東京UFJ銀行
アジア・オセアニア企画部長兼シンガポール副支店長
平松 直也さんのおすすめ
『怖い中国食品、不気味なアメリカ食品』
奥野修司・徳山大樹(著) 講談社
輸入食品の恐ろしい実態を徹底調査と潜入取材で次々と明らかにする衝撃的内容で読み応え十分。何がどう怖いのか写真やデータも交えて教えてくれる。グローバル化が進む今日、生命や健康に害を及ぼす食材が溢れかえる脅威は高まるばかり。食品加工業者の低いモラル、環境破壊が食材に及ぼす悪影響、自給率4割の日本は政治主導の輸入品規制による解決は限界。自己責任の時代、食品表示を見て生産から加工工程まで把握することは不可能だが、食材が誰によってどこでどうやって作られているかを知ろうという意識こそが自分や家族の健康を救う。年の初めに真剣に考えてみたい話題だ。

協力=シンガポール紀伊國屋書店

web329_kinokuniya_PB250017-2AsiaX × 紀伊國屋書店 新年に読みたい1冊2018 ブックフェア

「新年に読みたい1冊」で紹介されている本が、紀伊國屋書店に勢ぞろい!

読書好きな方はもちろん、しばらく新しい本を手に取っていないという方も、是非、足を運んでみて下さい。

● シンガポール本店:

391 Orchard Rd., #04-20/20B/20C, Ngee Ann City Takashimaya Shopping Centre, (S) 238872
● リャンコート店:

177 River Valley Road, #03-50 Linang Court, (S) 179036

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.329(2018年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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