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2009年2月16日

アジアでも日本でも通用するビジネスリーダーを目指せ! 早稲田-NTUダブルMBAプログラム

logoビジネスリーダーを目指す人にとって、MBA(経営管理修士)の取得は、人気の高い選択肢のひとつ。MBAプログラムを実施するビジネススクールでは企業経営を科学的アプローチで捉え、実践的な知識を身に付けられるのが魅力だ。

日本でも2003年度から専門職大学院制度がスタートし、MBAプログラムを実施する大学が増え、日本で働きながらMBAを取得する機会も多くなった。

同時に、企業経営にはグローバルな観点がいよいよ不可欠となっており、アジアに目を向ける人達も増えている。シンガポール西部・ジュロンに広大なキャンパスを構える南洋理工大学(NTU)の南洋ビジネススクールは、英フィナンシャル・タイムズ紙のビジネススクール・ランキングで2009年世界24位となった。NTUには、地元シンガポールをはじめ、東南アジア、オセアニア、ヨーロッパなどから「アジアのビジネスの現場で学びたい」という学生が集まってきており、世界的にも注目を集めている。

NTUのビジネススクール(以下NTU)と、日本を代表する早稲田大学ビジネススクール(以下早稲田)からそれぞれ修士学位を得られるのが、早稲田-NTUダブルMBAプログラム。ビジネススクールの新たな挑戦ともいえる同プログラムにアジアエックスが迫った。

早稲田、NTUそれぞれのグローバル化=早稲田-NTUダブルMBAプログラム

このユニークなプログラムの始まりは、教育における世界的ハブを目指す「グローバル・スクールハウス構想」を掲げ、世界各国の一流大学の誘致に熱心だったシンガポール政府から早稲田大学への打診がきっかけだった。グローバル(世界的、地球的)であると同時にローカル(地域的)であることを意味する「グローカル」を目指していた早稲田大学は、シンガポール進出にあたり南洋理工大学と提携、両大学の共同事業として2006年にプログラムを開始した。

3学期制を取っており、フルタイムの学生は通常7月下旬に入学、第1学期はNTUのMBA基礎科目を受講し、経営全般の基礎を固める。第2学期は引き続きNTUの基礎科目と、早稲田の提供する応用科目にもあわせて取り組む。第3学期は早稲田側の教員による技術経営(MOT:Management of Technology)系科目を中心に応用科目に取り組む。最後に日本で約2週間ビジネス・スタディ・ミッションと呼ばれるフィールドスタディーに参加。リサーチペーパーをまとめてプログラムを修了する。

早稲田、NTUが互いの修得単位を認めることで、プログラムの修了者は両校からそれぞれMBAを授与される。フルタイムの場合は1年、パートタイムの場合は2年での修了を目指す。

フルタイム、パートタイム、それぞれのやり方でダブルMBA取得を目指す未来のビジネスリーダー達

SnapCrab_NoName_2015-6-17_7-18-51_No-00 現在、早稲田-NTUダブルMBAプログラムに参加している小田さんは今回話を伺った4人の中で唯一のパートタイム生。シンガポールで大手金融機関に勤務し、平日夜間に週2~3回と週末に通学というハードスケジュールをこなす。中国出身の張さんは日本で大学を卒業し、大手商社に勤務。「ひとつの部署からは企業全体がなかなか見えない。一歩引いて全体像を見たかった」とMBA取得を目指した。豊田さんは、日本で人材開発会社を経営、企業で講師として研修プログラムなどを提供する側だが、教えているうちに「自分ももっと学ばなければ」と、MBA取得を決意。1年間ビジネスパートナーに会社を託して来星した。竹下さ
んは、日本で勤めていた会社を退職し、思い切ってMBA留学を決めた。「これからはアジアの時代。また、日本での英語の授業では得られないものがある」とシンガポールを留学先に選んだ。

同プログラムで学ぶ利点をたずねると「シンガポールというアウェイの地で自分の考えが通用する経験は大きな自信につながる」「世界で通用している先生方の講義が受けられ、刺激になる」「出身国も人種も様々に異なる人たちが集まっている。多様性に富んでいて、いろんな人に会える」と次々に挙がった。以前は英語は得意でなかったという竹下さんと豊田さんは、クラスの外での日本人同士での会話も英語を徹底。さらに、同プログラムはすべて英語で行われるため、勉強しているうちに英語力も付いたという。

プログラム修了後は「ここでの経験やネットワークを、自分の会社のビジネスに生かしたい(豊田さん)」、「自分をこのプログラムに派遣してくれた会社に貢献したい(張さん)」、「公私共に築いたネットワークを今後に生かしたい(小田さん)」、「アジアを中心に海外で挑戦していきたい(竹下さん)」と、いずれも意欲的。時間的な制約や英語のハンデ、日本と異なる生活環境、文化などに直面しながらMBAプログラムに取り組む厳しさは想像に難くない。しかし、それぞれに工夫しながら困難を克服し、自らの手で未来を切り開いていこうとする頼もしい将来のビジネスリーダーたちの姿がそこにはあった。

早稲田大学の挑戦、海外進出のミッションを担う教授陣杉浦正和教授インタビュー

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組織・人材マネージメントを専門分野とする杉浦教授は、東京の早稲田ビジネススクールで学生たちを指導しながら、ダブルMBAプロジェクトリーダーとしてこのプログラムを推進している。

同プログラムの利点について、杉浦教授は「シンガポールの名門である南洋ビジネススクールと、日本の名門である早稲田ビジネススクールのプログラムが受けられることがまずひとつ。そして、アジアにおける交通、貿易、金融、ITのハブであり、さらに教育のハブとしても地位を確立しつつあるシンガポールで学べること。特に後者の意義は大きい」と語る。また、早稲田の持つネットワークがフルに活用され、日本や欧米の一流企業からのゲストスピーカーによる特別講義が年間約20回行われる。世界的に活躍する現役のビジネスリーダー達から直接話を聞き、意見交換の場を持つこともできるという、学生にとっては非常に恵まれた環境が、このプログラムにはある。

早稲田の教員陣にとって、ホームを離れ「アウェイで戦う」のは大きな挑戦だ。「でも、非常にやりがいがありますし、面白いですよ。」と杉浦教授は笑顔で語る。「従来は海外からの留学生や教員を受け入れても、大学が海外に出て行くということはほとんどありませんでした。教員陣が日本とシンガポールを行き来し、海外で学位を認定する。早稲田にとっても新たな挑戦です。」

社会人が大学という学びの場に戻る意義について、杉浦教授は「物事の根本に対する問いと、プラグマティックな話との間を行き来できる」ことを挙げる。「例えば会社とは何か、なぜ組織が存在するのか、といった根本的な問いに戻ることができる。仕事をしながらそんなことを考えたら、仕事が止まってしまいますよね(笑)。」現場では効率やスピード優先でなかなか立ち入ることができない領域も、大学では深く掘り下げ、追求することが可能だ。また、社会での実務とつながってこそ、その意味も大きくなる。

最後に、ダブルMBAプログラム志望者へのメッセージとして杉浦教授は、「シンガポールは、今の世界が一番バランスよく見られる場所。シンガポールで学ぶことの価値をぜひ考えてもらいたい」と語った。

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.139(2009年02月16日発行)」に掲載されたものです。
文= 石橋雪江

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