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ドクター・グリーンのワンポイント医療情報

2017年2月20日

腹部超音波検査と食事制限

健康診断などで行われる腹部超音波検査では検査前の食事を控える必要がありますが、なぜ食事をしてはいけないかご存知でしょうか。

 

理由の一つは、食事による胃、腸管内のガスを避けるためです。食事をすると食べ物と一緒に空気が胃の中に入り、腸管の方へ移動していきます。また消化の過程で食べ物からもガスが発生します。超音波検査では送信した超音波と反射で戻ってきた超音波のデータから画像を作りますが、超音波は気体中で拡散する性質があるため、食後で胃、腸管内にガスがあると胃の後ろ側や腸の周辺などの画像を作ることができません。見えない部分ができてしまうことで、その場所の病気が発見できなくなる可能性があるのです。

 

もう一つの理由は、胆のうの中に溜まっていた胆汁が食物の消化のために排出され、胆のうが収縮して中が見えにくくなることです。収縮すると、ポリープ、胆石、癌など胆のうの病気を見つけることが困難になります。また、収縮している理由が病気によるものか、食後のためか判断がつかなくなります。

 

このように腹部超音波検査の前の絶食は重要です。うっかり食べ物を口にしないよう、気をつけましょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.318(2017年2月20日発行)」に掲載されたものです。

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