AsiaX

オフィス賃貸市況:2017年後半に底打ちか? ジリ下げ続くも2018年から細る新規供給

前号では民間住宅の新規供給(竣工数)が2017年後半から細る見通しを述べましたが、オフィススペースにも、底打ちの兆しが出てきました。

 

【オフィススペース賃貸相場ジリ安】

青の折れ線グラフは、中心部のオフィスの賃貸料指数の推移です。マリーナベイの大型物件で、主として外資銀行が大量のスペース削減をしたことが大きく影響しています。家主も優良テナント確保のために、大型スペースの積極的な値引きオファーをしています。かたや、2,000平方フィート以下の小型スペースは、企業のダウンサイジング志向もあり、需給が比較的タイトで、賃貸料が下げ渋っています。緑色の折れ線グラフは、全島ベースの賃貸指数推移です。

 

【意外にも空室率は高からず】
図中の青の折れ線グラフは空室率推移です。2003年第4四半期に17.9%と空室率が最大となり、リーマンショック前年の2007年第4四半期には7.3%と最小となり、2010年第3四半期に13%にまで増えた後、再び空室率は低下、家賃軟化にもかかわらず本年第2四半期時点では、9.1%まで低下しています。ただし本年末から来年には、現在建設中の大型物件の竣工が相次ぐため、再度空室率は反転上昇する見込みです。下図中の赤の棒グラフは、四半期単位でのオフィススペース新規供給量を表し、水色の棒グラフは新規需要量を表しています。マイナスとなっているのは、ネット供給減・需要減を意味しています。

 

【2017年は日系企業大型移転の年】
新世代大型ビルの相次ぐ竣工があり、メガバンク、総合商社、船会社、大手広告代理店などが、フロアサイズの大きい新築ビルへの移転を決めています。

 

【建替え・再開発ラッシュ再び?】
上図は、今後の新規供給見通しです(2016年第2四半期までは実績値)。紫の帯は、年間の平均需要増(約11万3,000平方メートル)を示しています。2017年の大型ビル竣工ラッシュのあと、2018年以降は新規供給が急速に細ってゆく見通しです。更に、旧式物件の相次ぐ取り壊しに伴い、オフィススペース総面積が急減し、逼迫感に繋がります。

 

2016年Q2現在 総オフィス面積: 756万3,000平方メートル =Republic Plaza I (7万2,000平方メートル)約105棟分