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2015年11月12日

シンガポール日本人会創立100周年 〜記念式典を盛大に開催〜

100ani-1シンガポール日本人会は今年で設立100周年を迎え、10月15日、日本人会創立100周年式典が日本人会館で行われた。
今年は100周年記念イベントとして、年間を通してコンサートや落語が開催されており、式典当日は「能公演~寺井父娘会~」が披露された。能楽観世流シテ方で重要無形文化財[能楽]総合指定保持者の寺井栄氏が仕舞で「岩船」を、続いて寺井美喜氏が舞囃子「紅葉狩」、最後に寺井千景氏が能面をつけて「猩々乱(しょうじょうみだれ)」を演じ、幽玄な舞で観衆を魅了した。能公演に続いて行われたレセプションでは、最初にシンガポール日本人会の髙橋健司会長が挨拶を述べた。そしてシンガポール日本人会の歴史を振り返り、戦争を経てもなお日本人コミュニティを受け入れてくれたシンガポールに対し、「シンガポールの人たちはいつも心をオープンに、異文化を受け入れてくれる」と感謝を伝えた。

 

100ani-2続いて主賓として招かれたコー・ブンワン調整相(インフラ担当)兼運輸相がシンガポールの経済発展や近代化における日本の貢献について触れ、「シンガポールは暮らしやすい環境整備に努めてきました。在住外国人の方々にはシンガポールを『第2の故郷』だと思ってほしい」と語った。締めくくりとして、竹内春久駐シンガポール日本国特命全権大使が日本人会および日本人コミュニティ関連団体の運営に携わっている人たちをねぎらうとともに、来年は日本とシンガポール国交50周年の節目の年となると紹介し、乾杯の音頭をとった。乾杯の後はサプライズゲストとして、シンガポール公演のために来星中だった市川海老蔵氏が登場し、場を盛り上げた。シンガポール日本人会が1915年(大正4年)9月12日に正式に発足してから100年。当時およそ1,500人だったという在留邦人は現在3万人を超え、日本人会の会員も1万6,000人に増えた。日本人会は、今も昔もそしてこれからも、私たち在留邦人の心のよりどころであり続けるだろう。

 

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100ani-4日本人会勤続25年のアラン・ウォン事務局次長に100周年への思いと、これまでの日本人会の歩みを聞いた。

 

シンガポール国立大学(NUS)で日本研究を専攻して卒業した後、1990年1月からシンガポール日本人会で働き始めました。シンガポール人の私が日本人会で働くのは、いわば日本の友人をサポートする立場にあると感じています。そして日本人会100年の中で25年の歴史に関わることができたのは、とても名誉なことです。

日本人会主催のイベントの数も増え、規模もだんだん大きくなってきました。私が日本人会で働き始めた当時、夏祭りの参加者は数百人だったのが、今は1万人を動員するまでになりました。そして、以前よりもローカルの参加者が増え、たくさんの学生もボランティアとして参加してくれるようになりました。日本人会が掲げる理念の1つである現地コミュニティとの交流と相互理解が達成されていると感じます。チンゲイパレードへの参加などを通じて「日本」を紹介してきたことも、地元の人たちが日本について知り、身近に感じることに大きな役割を果たしてきたと思います。

 

これまで1998年に現在の日本人会館が完成するなど大きな出来事がありましたが、私の中で最も印象に残っているのは日本人学校小学部チャンギ校の建設です。政府から借り受けた土地で建設が始まったものの、敷地の一画から不法占拠者が立ち退かず、建設計画を見直す必要に迫られました。この問題は1年半におよぶ裁判を経てようやく解決しました。今もチャンギ校を訪れると、あの時は本当に多くの人の協力とチームワークがあったことを思いだします。
日本人会はこれからも新しい世代の日本人コミュニティに対応しながらも、変わらない理念の下、在星邦人にとってかけがえのない存在であり続けたいと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.291(2015年11月02日発行)」に掲載されたものです。

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