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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2015年7月20日

シンガポールでの住まい探しの「落とし穴」(その4)

パシフィック不動産は、今年で創業40周年を迎えました。日々の業務を通じて遭遇した「住まい探しの落とし穴」を、AsiaX4月20日号(項目1~6)、5月18日号(項目7~12)、6月15日(項目13~16)に続いてまとめました。
※バックナンバーはwww.asiax.biz/life/info-estate/でご覧になれます

 

17.転勤解約条項 (Diplomatic Clause)は引き継げない

賃貸市況が下がってくると、家主は、次のテナント探しが容易ならざることもあり、「当初の居住社員が転勤解約条項の発動できる14ヵ月目より早く帰国してしまったため、後任を住まわせ14ヵ月目末で解約しよう」としたところ、「満期まで住み続ける義務あり」と言われるケースが頻発します。これを防ぐには、当初の居住者の退去通知を出す時点で、14ヵ月までのみ後任で補填する事について、家主の明示的(=書面など)同意を事前に取得することが肝要です。

 

18. Employment Pass取得ができなかった場合の契約解除

住宅は借りてしまったが、Employment Passが取得できなかったので賃貸契約を解除したい、というご相談を時々頂きます。通常、Letter of Intent (手付契約)の段階であれば、1ヵ月の手付金流しで解約可能です。しかし、Tenancy Agreement締結済みの場合は、転勤解除条項が発動できる14ヵ月目までは、契約解除できません。
家主の同意を得て代わりの入居者を住まわせるか、あるいは家主が同意する示談金を積んで、即時解約に応じてもらうか、いずれかの方法が一般的です。最近、Employment Passが取得できないケースが増加していますのでご留意ください。

 

19. Employment Pass 取得がなかなか難しくなりつつある

日本の外務省発表の統計によると、シンガポール在留邦人数は、2010年:2万4,548人、2011年:2万6,032人、2012年:2万7,525人、2013年:3万1,038人、2014年:3万5,982人(各年10月1日現在)と順調に増加してきました。他方、シンガポール政府人材省発表では、就労パスで働く外国人者数は、2010年:EP14万3,300人 SPass9万8,700人、2011年:EP17万5,400人 SPass11万3,900人、2012年:EP17万3,800人 SPass14万2,400人、2013年:EP17万5,100人 SPass16万0900人、2014年:EP17万8,900人 SPass17万100人(各年12月現在)となっており、特にEmployment Pass総数が、17万人台で実質Cappingされているのが解ります。特に2014年年央までは、邦人数が急増しましたが、その後は円安による日本回帰の動きや、EP取得難で、在シンガポール邦人数増加も頭打ちになりつつあると見られています。

 

20. Overseas Family School (OFS) が Pasir Ris の新キャンパスに移転

日本人にも人気のあるOFSが、今年6月19日を持って、オーチャードから81 Pasir Ris Heights Singapore 519292に移転しました。この結果、欧米人も含む一部のご家庭が東部地域のお住まいに転居され、同地区の賃貸需給にも影響を与えています。

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.284(2015年07月20日発行)」に掲載されたものです。

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