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熱帯綺羅

2018年1月26日

ガストロ・パーク「Timbre+」に見る、ホーカーセンターのこれから

オープンエアの建物内に、屋台が軒を連ねるホーカーセンター。安価でおいしい料理がいただける、国民の台所ともいうべき馴染みの存在が、近年、そのスタイルを変化させつつあるのでは?そんな推察をしたのは、エンターテインメント性にあふれ、当地のホーカーフード・シーンを発展させるようなホーカーセンターが作られ始めていることを知ったから。その象徴である「Timbre+」や、2018年1月末開業予定の「Pasir Ris Central Hawker Centre」にお話を伺いました。

 

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「Timbre+」。真ん中のメインステージで、月曜から土曜はライブが開催される。時間や出演者はHPでチェックを。

 

食事をする場から、交流の場へ。重要視される存在

まずはホーカーセンターの成り立ちなど、昨今の変化がもたらされるに至った経緯をまとめておきましょう。

 

時代は第二次世界大戦前に遡ります。当時は港湾や建設現場の労働に従事する中国からの移民が多く、忙しい彼らは移動式カートで食事をとっていました。戦後、この料理屋台はいっそう増加します。雇用が少なく、特殊技能なしにできる商売として人気だったのです。

 

しかし屋台は衛生管理が悪い上、屋台が道路を塞いでいることが国の都市計画に反するという理由で、1950年に設置されたホーカー調査委員会により、撤廃勧告が出されます。そこで考案されたのが、原型となる、ホーカーシェルター。屋台を一箇所にまとめ、衛生管理しようと考えたのです。施設使用料を抑え、料理提供価格を上げずに商売できることを委員会がアピールし、路上屋台のシェルターへの移動を促進。こうして1960年代に移転整備が始まり、1980年代半ばまでにかけ、約2万軒の路上屋台が施設に収まりました。

 

シェルターの設備は次第に向上し、ホーカーセンターへと進化します。2000年代に入ると「Hawker Centre Upgrading Programme」が発表され、S$4億2千万の予算をかけ、設備更新や地域のニーズに合わせた改修がスタート。建物のグレードアップに加え、ベトナム料理や和食の屋台が登場するなど料理バリエーションも多彩に。

 

 

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(Timbre+にて撮影)多くのレストランが出店しており、彼らは「カリナリー・タレント」と呼ばれる。写真はカジュアルフレンチ店「ギャルソン・エクスプレス」の「フレンチ・ダック・コンフィ」。表面がカリっと揚げ焼きされたダックに、香りとても高いソースと、レストランの味だ。
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締めにぴったりの鶏フォー。

 

こうした中、2005年に環境省がホーカーセンターに関する国民の意識調査を実施しました。調査結果で特筆すべきは、「ホーカーセンターは異なる世代・民族を結ぶ場である」との回答が81%に及んだ点。コミュニティスペースとしての重要性が示唆されました。しかし、調査で見逃せない点がもう1つ。それは「ホーカーセンターは若い世代にとって魅力的ではない」という回答が約20%あったこと。エアコンの効いたフードコートに慣れ親しむ世代にとっては、屋外の暑い環境は不人気なのではと、危惧されました。調査以降、ホーカーセンターという国の文化を守るためにどうすべきかが検討され始めます。

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