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港町シンガポールを望むマウント・フェーバーへ

シンガポールという名前の起源が、マレー語のシンガプーラ(シンガはライオン、プーラは町という意味)にあることはご存知だと思います。その昔インドネシアの王子様がこの島に流れ着いて、ライオンに似た動物を見たことからそのような名前が付けられたそうです。海を渡ってこの島に上陸した王子様の軌跡を辿って、シンガポールにアプローチしてみる、という体験はいかがでしょうか。

昼下がりの港の風景はどことなく気だるく感じられる。夜景も素敵なので、夕方から夜までまったりしながらこの風景を堪能してみるのもいい。

 

近い将来カジノがオープンするセントーサ島から、ケーブル・カーで本島に渡ってみるのです。フェリーや車でも移動できますが、眺めを楽しむならなんと言ってもケーブル・カーでしょう。途中、クルーズ船が行き交い、ビボシティーからカラフルなモノレールが出てくる様子も見られます。反対方向に目を向けると世界一忙しい貿易港で、数え切れないほどのクレーンが稼動している様子も遠くに見え隠れしています。

ハーバーフロントも通り過ぎていよいよ本島に入り、終着駅はマウント・フェーバー。標高120メートル、山というほど高くはないのですが、ここからの眺望はなかなかです。

セントーサ島の向こう側には何隻もの大型タンカーが停泊していて、シンガポールが港町であることを改めて実感するでしょう。

シンガポールを表現する言葉には「ガーデン・シティー」「クリーン・アンド・グリーン」「東西の交差点」「東洋のモナコ」などありますが、港町であることは案外忘れられているのかもしれません。でもこうして船が出入りする風景を眺めていると、異邦人の気分になってくるから不思議です。

カクテル・サファイヤでCheers!

ケーブル・カーが着いたところは「ジュエル・ボックス(Jewel Box)」というレストラン&ショップを備えたエンターテイメント・スポット。ここには「サファイヤ」「ブラック・オパール」「エンプレス・ジェイド」「ムーン・ストーン」「エメラルド・ロッジ」という宝石の名前が付けられたレストランとバーが5つあります。

カジュアルなダイニングとカクテルを、という方にお勧めは「サファイヤ」。夕暮れ時に来ると蒼い空が少しずつピンク色に変りやがて、水平線も夕闇にまぎれてしまいます。

試してほしいカクテルはその名も「エンチャンテッド・サファイヤ」。ほんのりエメラルドを混ぜたような青い色のカクテルです。

お勧めのスナックはメキシカン・タコ・ナチョスで、3種類のディップが付いてきます。またクリスピー・ベイクド・ポテト・スキンはオーブンで焼いた香ばしい一品。どちらもさわやかなカクテル・サファイヤの味を引き立ててくれます。ベトナム料理のフォーやチキン・マサラなどアジア料理も豊富にあるので、お腹が空いたらぜひ。

「サファイヤ」からの眺めも素敵ですが、「ムーン・ストーン」の方は港と反対側の街の景色、シェントンウエイのビル群まで見渡すことができて、そのコントラストがまた格別です。ビールやワインなどドリンク類が豊富で食後にまた一杯、という時は「ムーン・ストーン」へ。

もっと本格的にワイン&ダインを、という方はエレガントなレストラン「ブラック・オパール」、または中華料理の「エンプレス・ジェイド」。カジュアルなウエスタン・フードなら「エメラルド・ロッジ」もあります。すべてのレストランに共通しているのは“港の風景”。日本では工場の夜景を眺めるツアーが静かなブームで、「工場萌え」なる言葉が流行っているそうですが、シンガポールでは「港の景色」がイチオシ。

夜が更けてゆくと、暗い海にチカチカと光る船の灯りがとてもノスタルジック――。ワインやカクテルを片手に、いつまでもこんな夜景を眺めていたいと思うでしょう。

「ジュエル・ボックス」オリジナルのギフトはTシャツのほか宝石箱、ジュエリーなど数多くある。キラキラグッズはお土産に喜ばれそう。

カクテル「エンチャンテッド・サファイヤ」は海と山の緑を映したよう。ジンベースでアップルジュースやスプライトが入ったクールなカクテル。おつまみにぴったりなフィンガーフードのほか、パスタやピザなどウエスタン・メニューも充実している。