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熱帯綺羅

2010年8月2日

ナショナルデーにひも解く建国の歴史「シンガポール国立博物館」

1960年代、文化とライフスタイルの興隆

シンガポールが独立を果たした1965年前後の60年代は、特に現代のシンガポールの文化を知る上でも大事な時代でもあります。1959年6月の総選挙で人民行動党が圧勝し、自治政府下でリー氏がシンガポールの初代首相に就任すると、独立への気運も一気に高まり、人々の感情にも東南アジアに暮らす自らのアイデンティティーの確立がなされていきました。同じ年、音楽家のズビール・サイード(Zubir Said)氏が、シンガポールの国歌「マジュラ・シンガプーラ」を作曲し、今でもマレー語で歌われています。

人々の生活を垣間見ると、レインボーカラーのサロンクバヤなどのファッション、マレー映画の興隆や雑誌などの流行、家電製品の浸透、当時一世を風靡したハウパービラや、「ワールド」というネオンで飾られた遊園地など新しい娯楽も誕生し、独立への政治的な不安とは裏腹にカラフルで豊かになっていった時代でした。当時に思いをめぐらすと、独立国家として歩むリー氏を間接的に力づけて励まし、経済成長を後押ししたのは、よりよいライフスタイルを望み始めていたシンガポール国民自身だったのかもしれません。

現在、シンガポール国立博物館で企画展として開催されている「Singapore 1960」展では、1960年代当時の様子が300もの展示品とともにつぶさに感じることができます。

 

歴史ギャラリー@シンガポール国立博物館

シンガポール国立博物館では各種企画展のほか、ファッションや食文化などにスポットを当てた「ライフスタイルギャラリー」と、歴史的に貴重なシンガポールの財産や、史実に関わった人々のインタビュービデオなどの映像を擁した「歴史ギャラリー」を常設。今回注目の歴史ギャラリーでは、歴史上の出来事を軸とした順路と、歴史に生きた人々を軸とした順路いずれかを選び、日本語対応の視聴覚ガイド機器「コンパニオン」を伴って展示を見学します。コンパニオンは、単調な解説に留まらず史実をドラマチックに語る切り口で、往時を五感で感じることができるのが特徴です。

シンガポール国立博物館 National Museum of Singapore

 

93 Stamford Road (S)178897 Tel :+65 6332 3659

入館料:大人 S$10、子供/学生/シニア S$5

開館時間:毎日10:00~20:00(18:00以降は無料、最終入場19:30)

● 歴史ギャラリー 10:00~18:00(最終入場17:30)

日本語ガイドツアーあり

● 企画展「Singapore 1960」 10:00~18:00

地下1階ギャラリー1にて開催中、8月22日(日)まで

93 Stamford Road Singapore 178897

文= 桑島千春

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.172(2010年08月02日発行)」に掲載されたものです。

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