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熱帯綺羅

2011年6月6日

オーチャード・ロードに建つ大きな城「ニーアン・シティ」

東洋の顔と西洋の内装を持つビル

ニーアン・シティの設計を手がけたのは、地元の建築設計事務所レイモンド・ウー&アソシエイツ・アーキテクツ。代表のウー氏によると、ニーアン・シティのデザインには、ちょっと欲張りなぐらい様々な要素が取り入れられています。教育、文化、慈善事業などを手がける義安公司をはじめ潮州系の人々を象徴する堂々とした建物にすべく、万里の長城のような頑丈さと、高層ツインタワーのバランスがもたらす安定感、オーチャード・ロードに面したエントランスの開放感、集まる人々を寛大な気持ちにさせてくれる大きな広場、地上からも地下からもアクセスの良いランドマーク、といったコンセプトを元に、約4ヵ月かけて設計が作られました。余計な装飾は排して、時代が変わっても風化することのない、建築の流行にも左右されない建物で、人々にとってシンボルとなるものにしたかった、とウー氏は語ります。外壁には中華系の人々にとって縁起の良い赤を取り入れ、きれいに研磨された赤花崗岩が採用されました。オリエンタル色の濃い外観とは打って変わって、内装はかなりヨーロッパ風。その組み合わせは、アジア系の顔を持ちながらヨーロッパの影響を強く受けているシンガポールの人々に通じるものを感じます。

正面のエントランス前には、半円形のオープンスペース「シビック・プラザ」が広がっています。毎年9月に開催されるライオンダンスの大会やクリスマス・ライト・アップの点灯式、ストリート・サッカー大会、ファッション・ショー、展示会など、様々なイベントに多くの人々が集い、文字通り「市民の広場」として機能しています。

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ニーアン・シティの模型。

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1993年10月に行われたシンガポール髙島屋のオープニング・セレモニー。一番左は当時情報芸術相だったジョージ・ヨー氏。

ここ数年、オーチャード・ロード沿いには次々と新しいショッピングモールが誕生していますが、世界の一流ブランド店が軒を連ね、髙島屋や紀伊國屋書店、ベスト電器など日系の大型店舗、日本の“デパ地下”を髣髴とさせる地階など、様々な顔を持つニーアン・シティはやはり今でもオーチャードの顔。「更に年月が経てば、もっと良さが出てくる建物ですよ」というウー氏の言葉を思い浮かべながら見上げていると、早くその未来を覗いてみたいという気持ちに駆られます。

ニーアン・シティ

391 Orchard Road 238872

TEL:6506-0461

391 Orchard Road 238872

文= 石橋雪江
写真=石橋雪江・シンガポール髙島屋

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.190(2011年06月06日発行)」に掲載されたものです。

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