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熱帯綺羅

2013年11月4日

マングローブの森を歩く、スンガイ・ブロー湿地保護区

 

私たちの生活をも守る母なる自然、マングローブの森

スクリーンショット 2015-07-02 12.04.05ビジターセンターを入ったすぐ隣には、この保護区で一番の見どころともいえる、全長500mの遊歩道が伸びるマングローブの森があります。シンガポールには31種のマングローブがありますが、その半数は絶滅に瀕しているといわれています。かつてシンガポール全域の約13%を占めていたマングローブの森は、急速な土地開発が行われた結果、0.5%にも激減してしまったといいます。その残されたマングローブの一部がここには生息しています。
引潮時には泥の中に何本もの根を張る姿が見られるマングローブの森は、自然界だけでなく、私たち人間の生活をも守ってくれている大切な存在なのです。マングローブは汚れた水をきれいにするだけでなく、海岸線の侵食を保護しています。最近では津波の被害を軽減する自然の防波堤としてもその価値は認められています。また、マングローブの森は魚やカニなどの野生生物にとっての住処であり、実や花は鳥たちの食糧にもなります。この森独自の食物連鎖によって生態系が守られているのです。
しかし最近では、週末になると多くの人が訪れ、ゴミが目立つようになりました。海から流れてくる浮遊物も増え、ビニール袋やストローなどが生態系に影響を及ぼしているといいます。水に浮かぶビニール袋をクラゲと勘違いしてのみこんでしまうカワウソやワニ、魚などが犠牲になっているからです。
スンガイ・ブロー湿地保護区の守り人の一人、マネージャーのマンディス・タンさんは言います。
「普段の生活の中でも、プラスチック製品の使用を減らし、リサイクルをするなど、環境保全に真剣に取り組むべき時が来ています。便利な暮らしを追求するだけでなく、エアコンは極力使用しない、使っていない電気の主電源を切るなど、小さなことからでも始めないと」。
ひなたぼっこを楽しむオオトカゲの横顔を見ていると、この自然の未来は私たち一人ひとりの手に委ねられているのだと感じられずにはいられません。

 

 

スクリーンショット 2015-07-02 11.07.31

301 Neo Tiew Cresent Singapore 718925

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.245(2013年11月04日発行)」に掲載されたものです。
文= 片木友美子
写真=Eugene Chan

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