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市民の憩いの場、シンガポール最大の海浜公園「イーストコースト・パーク」

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チャンギ国際空港からタクシーに乗り中心部に向かうと、左手に海が見えてきます。この海岸線に沿って東西15km、面積185ヘクタールに広がるのが、シンガポール最大の海浜公園「イーストコースト・パーク」。お洒落なホテルやバーが建ち並ぶ、セントーサ島のビーチのようなリゾート感は薄いものの、毎年700万人以上もの人々が訪れ、庶民的な場として根強く愛されています。

 

誰もが楽しめる公園

「みんなのためのレジャー・パーク」がテーマのこの公園は、白い砂浜や広大な緑地はもちろん、とにかく施設が豊富。ランニングコースや各種ウォータースポーツ、ホーカーセンターに宿泊施設まで、体を動かしたい人ものんびりしたい人も誰もが満喫できる公園になっています。長い海岸線を楽しむのに最適なレンタル自転車は特に人気で、1人乗りから複数人用の4輪車まで、週末にはカップルや家族連れがサイクリングを楽しむ姿が見られます。シャワーも完備されており、シンガポール公園局発行のキャンプ許可証を取れば宿泊キャンプも可能。目の前に広がる海は遊泳可能で、沖に停泊中のたくさんのタンカーを背景に水遊びをする人々の姿は、シンガポールならではの光景です。
セラングーンから遊びに来ていたリム一家は、砂浜が大好きな息子さんを連れて年に数回はここを訪れるそう。「子どもは存分に砂遊びができるし、芝生でピクニックもできる。週末にさっと来れるので気に入っています」。
シンガポールで週末を過ごす選択肢の中でも、気軽に出かけられ、家族全員がそれぞれの楽しみを見つけられるこの海浜公園。島内に300以上ある公園の中でも人気が高いというのも納得です。
多くの人で混雑する週末とは対照的に、平日はゆったりとした雰囲気。昇る太陽を見ながらヨガをするグループや、桟橋で釣りをする人、仕事前にジョギングする若者まで、朝からアクティブな人々が集まります。この地域に住む人にとって、ここはライフスタイルの一部になっているようです。

 

憩いの場から目的型レジャー・パークへ

今では皆に親しまれるイーストコースト・パークですが、実は一昔前までここは海でした。そう、この広大な海浜公園は、埋め立て地の上に造成され、長く続く砂浜も全て人工のもの。1960年代にマリンパレード地区の大規模な埋立地開発が始まり、80年代に埋立地の上にイーストコースト・パークが完成。90年代に再開発が行われ、その頃からだんだんと活気づいてきたとか。2000年代に入り、シンガポール初のケーブル・ウォータースキーや世界基準の大型スケート・パーク等、他の公園にはないレジャー施設が開設し、この国内最大の公園は憩いの場を超えた一大レジャーパークへと成長していきました。

 

 

常に国民のニーズに答えようと、現在もいくつかの施設で改装工事が進行中で、その一つ、複合施設のパークランド•グリーンは2014年9月にリニューアルオープン予定。飲食店の数々やレーザータグ(光線銃サバイバルゲーム)等のアクティビティが楽しめる一方、建物面積は改装前より25%削減し芝生スペースを増やすなど、利便性だけでなく更なる緑化を目指したスペースに生まれ変わります。また、現在チャンギ•ビーチとイーストコースト・パークを繋ぐサイクリングコースも延長工事中で、近い将来にはさらに西方向にあるガーデンズ・バイ・ザ・ベイまでを繋ぐ25kmのコースが完成する予定。サイクリングやランニング愛好家にとっては、車を気にせず安全に長く走れる魅力的なコースになりそうです。

 

 

娯楽性と緑化のバランスを保ちながら進化を続けるイーストコースト・パーク。芝生にただ寝転んで、椰子の木を見上げ、潮風を肌で感じるためにやって来る人々を、これからも懐深く受け入れてくれる場所であることに変わりはありません。