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熱帯綺羅

2014年10月6日

150年の歴史に寄り添った芸術センター「ビクトリアシアター&コンサートホール」

 

歴史的建造物を生かした新文芸地区の一員として

 

スクリーンショット 2015-07-01 13.00.36今回の大改装で、施設設備の新調はもとより、中型芸術施設としての快適性とオリジナリティが各所に取り入れられました。例えば、劇場には温かみのある現代的なデザインの内装が施され、以前900席あった座席数は614席に減ってゆったりと座れるようになりました。舞台やオーケストラのピットも拡張され、演目に合わせて広さを調整できる構造になっています。また、改修前の古い座席の鉄の骨子部分を劇場の音響板設置のレールに使い、その背もたれだった木板を劇場外のホールのインスタレーションに使うなど、粋なリサイクルのアイディアがデザインに見られます。一方で、コンサートホールは、本来のビクトリア調の美しい内装を存分に生かす改修が行われました。音響改善のために2階バルコニー席は縮小され、舞台上の天井に音響板が設置されました。ホールの美しさを損なわないために透明の音響板が使われているのが特徴です。
ホームグラウンドであるビクトリアコンサートホールに4年ぶりに戻ったSSOで1997年から音楽監督を務めるラン・シュイ氏は、新しいホールに立った感想について、「このステージでリハーサルをすると、素晴らしい思い出の数々が蘇る。新しいコンサートホールはどこもそうだが、オーケストラや音響技術担当にとって慣れるまで少し時間がかかる。音楽家が自らの才能を発揮するのに良い楽器が要るのと同じで、オーケストラにとってコンサートホールがその重要な楽器のようなものですから」と述べました。「専属楽団として立派なコンサートホールがあり、規模の大きい演出の際はエスプラネードでも演奏できるという環境に恵まれ、我々は幸運だ」とも。

 

 

新生ビクトリアシアター&コンサートホールは、隣で改築工事がすすむ旧最高裁判所と旧市庁舎が2015年に国立美術館として完成するのを待ちながら、新文芸地区の音楽とパフォーマンスの芸術センターとして今後その存在感を増していくことでしょう。

11 Empress Place Singapore 179558

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.266(2014年10月06日発行)」に掲載されたものです。
取材・写真:桑島 千春

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