2019年3月27日
変わっていく雇用環境の中で 採用活動の前に見直したい福利厚生の内容〜変化するマーケットのトレンドから〜
近年シンガポールでは就労ビザの厳格化が進んでおり、日本人駐在員の後任として、現地採用の日本人やローカルスタッフで補充を行う企業が増えてきました。政府は従業員の3分の2をローカルスタッフ(PRも含む)でカバーする政策に力を入れており、企業のローカル化が進んでいます。4月は駐在員の入れ替わりが最も多い時期ですが、新しく当地に赴任された方の中で、これから採用に携わる方も多いのではないでしょうか。また、転職をする際には、給与や福利厚生の充実度が会社選びの重要なポイントになります。今回はローカルスタッフの採用にあたり重要視されるポイントの一つでもあり、さらには従業員のリテンションにも効果のある福利厚生についてお話しさせていただきます。
基本的なシンガポールの福利厚生
まずはシンガポールの基本的な福利厚生を見てみましょう。シンガポールの雇用法では有給日数などが設定されていますが、実際は雇用法よりも手厚く設定されているケースがほとんどです。
マーケットスタンダードに合わせる
福利厚生はマーケットスタンダードに合わせるのをおすすめします。特に有給休暇は日系企業が低く設定しがちなポイントです。法定では1年目に7日間休暇を取ることができますが、法定通りに設定してしまうと、求人の際に他社と比較して見劣りしてしまい、なかなか候補者が集まらないという事態に陥りがちです。2018年MOM(人材開発省)雇用状況のレポートによると、最低でも15日の有給休暇の支給を設定している会社が増えてきているそうで、15日以上付与している会社では退職率を減少させる効果があったそうです。
最近の福利厚生のトレンド
近年、日本でも「働き方改革」というフレーズを聞くようになりました。シンガポールでも、従業員のワークライフバランスを考慮した勤務制度、FWAs ( FLEXIBLE WORK ARRANGEMENTS)というフレームワークを導入している企業が増加傾向にあると、MOMが発表しています。具体的には、フレックスタイム制の導入や、自宅やサテライトオフィスから働く勤務地の自由化、パートタイムなど、従業員のニーズに合わせた雇用形態も含まれ、上記以外にも、ここ10年で従業員のワークライフバランスを考えた下記のような休暇を福利厚生に追加する企業も増えてきました。
実際にこういったフレックスタイム制度や充実した福利厚生がある会社で勤務している従業員は、会社から大事にされていると感じ、それが会社へのロイヤリティにつながり、退職率が減少、リテンション効果があるようです。
今年4月1日の雇用法改正からも読み取れるように、今、企業に、従業員が働きやすい環境の整備が求められています。改めて、自社の福利厚生はどういった内容になっているのか、自分の部下はどういった契約内容で働いているのかを知るために、雇用契約書や就業規則書を一度確認してみてはいかがでしょうか。パソナシンガポールでは就業規則書、雇用契約書の作成、レビュー、改訂のお手伝いもさせていただいております。それ以外にも、人事労務・採用周りでご相談がありましたら、お気軽にパソナシンガポールまでお問い合わせください。
参照情報(reference)
MOM Report: Conditions of Employment 2018
https://stats.mom.gov.sg/Pages/Conditions-Of-Employment-2018.aspx
Pasona Singapore Pte.Ltd(パソナシンガポール)
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.344(2019年4月1日発行)」に掲載されたものです。