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EP厳格化!採用相談室

2018年7月27日

見逃せない細かいルール変更

EP厳格化が進み、日系企業にとって採用が難しい状況となって久しいですが、2018年7月より一つ、2019年1月よりさらに一つのルールが変更されます。

 

厳格化が進む中で、こうした小さなルール変更は見逃せないポイントとなりますので、今回は解説を加えながら一つずつチェックしていこうと思います。

 

Point1
EP申請にJobs Bankへの掲載が必要な企業及び求人条件の変更

 

Jobs Bankというのはシンガポール政府が運営する求人サイト(www.jobsbank.gov.sg)のことで、企業はEPを申請する前に、Jobs Bankに求人掲載を行ったこと(=シンガポール人を採用しようと努力したこと)を証明する必要があります。

 

社員数が少ない企業や、経営層などの給与が高い人材を採用する場合は、掲載が免除されていましたが、今回の変更により多くの企業が申請を義務付けられたといっても過言ではありません。具体的にどのようなデメリットが発生するかというと、企業は掲載を2週間行うことが義務付けられているので、

 

 

と、入社までの期間が延びてしまうことが挙げられます。内定通知前に求人掲載を行うことも可能ですが、求人掲載する役職名や給与などと実際の内定が一致していなければビザが承認されないため、でたらめな求人掲載はできないことがポイントです。

 

1ヵ月前の通知での退職が一般的なシンガポールでは、退職が決まってから同じポジションに外国人を採用しようとすると、引き継ぎが間に合わないケースがほとんどのため、企業は前もって採用計画を立てたり、シンガポール人を採用する仕組みを作ったりと、さらなる工夫が必要です。

 

Point2
S Passの取得条件の変更

 

こちらはそこまでインパクトの大きい変更ではありませんが、実質給与の底上げになることが予想されます。

 

また、今まであまりルール変更が無かったS Passについても、遂にテコ入れが始まりました。今回のルール変更をきっかけに、S Passも厳格化が進む可能性があります。現在は、シンガポール人・永住権保持者の社員数に応じてS Passの発給数が決められていますが、今後はこの割合や比率などが変更になる可能性もあります。

 

 

EP厳格化によってトクをする人も?

企業にとっては悩みの種であるEP厳格化ですが、実は労働者にとってはトクをするケースも多々あります。

 

例えば、当社からのご紹介で就職が決まる新卒の方。2016年まではEPの最低取得基準が3,300ドルだったため、EPであってもSパスであっても、3,000~3,500ぐらいの給与額でオファーが出ることがほとんどでした。

 

しかし現在の基準額である3,600ドルになってからは、3,600~4,000ドルでのオファーが多くなり、結果的に高待遇で入社される方が増加しました。

 

また、数年前に来星しEP更新が必要になった方も、給与アップに繋がったケースを多く耳にします。最初は3,800ドルでEPを取得した方も、2年後の現在は4,800ドル程度必要になり、取得基準の高まりに応じて給与も増加するというケースです。現地採用者にとっては給与アップのチャンスであることは間違いなく、転職や給与交渉を行うのであれば今がそのタイミングともいえます。短期的な目線で見ればラッキーな部分がありますが、一方で2年後、4年後にはどうなるかわからず、漠然とした不安を抱えている方も多いようです。

 

今回のまとめ

EP厳格化という大きな括りで話されることの多い話題ですが、一つ一つのルールを紐解いていくことで、講じるべき対策や道筋が見えてきます。当社では最新の人事関連情報を提供しながら、人事・採用担当者様に寄り添い、EP厳格化に対する様々な可能性をご提示したいと考えております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 


お話を伺ったのは…
Good Job Creations (Singapore)Pte. Ltd.
Senior Recruitment Consultant
濱口 昌紀さん

 

広告代理店での勤務を経て、2016年にGood Job Creationsに入社。
現在は日本人・日本語スピーカー担当として、年間約500人の求職者と面談を実施。

 

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.336(2018年8月1日発行)」に掲載されたものです。

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