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資格・スキルを活かす就職「保育士資格編」

どこで役立つ? 保育士資格

シンガポールの幼稚園やナーサリーには、日系のほかローカル向けやインターナショナルスクールもあり、そのシステムは日本とは異なります。日本で保育士資格を取得した方は、シンガポールでどのような働き方ができるのでしょうか。

取材協力:Intelligence Asia Pte.Ltd

 

日系幼稚園で保育士の採用ニーズは増加傾向に

 

日本人にとっては、日系の幼稚園が保育士資格を生かせる仕事として最も一般的といえます。現在シンガポールには6~7ヵ所の日系幼稚園があり、保育士として働くには資格がほぼ必須になります。このほかパートタイマーとして、正規の先生をサポートするといった案件もあります。

 

シンガポールで働く日本人の増加に伴い、日系の幼稚園も増えており、保育士資格を持った方の採用ニーズも高まる傾向にあるといえるでしょう。こういった仕事を見つけるには、人材会社や求人サイト、フリーペーパーの求人欄を利用するほか、口コミで仕事を紹介してもらえることもあります。

 

日系の幼稚園で働く場合、子供とのコミュニケーションは日本語で問題ありませんが、英語を話すローカルの先生も在籍しているため、最低限の英会話力はやはり必要になります。

 

なお単身者の方は、日本である程度キャリアを積んでからこちらで仕事を探したほうがいいでしょう。実務経験が浅い場合、給与が低くビザ申請が受理されない可能性があるからです。

 

語学力に自信あればローカル案件も選択肢に

託児所を併設している英会話学校や病院もありますが、日本人向けの求人はあまり多くありません。またシンガポールのローカル企業の場合、イングリッシュスピーカーの保護者や子供との関わりが主になるため、ネイティブレベル、またはそれに近い英語力が求められます。語学力に自信があれば、自身でこうした案件を探してみてもいいかもしれません。

 

帰国後のキャリアを考えたとき、海外で保育士資格を活かして働いた経験は、その方の人材価値を高めることになるでしょう。海外で働くことで語学力も向上しますし、グローバル化に対応した人材が求められる中、日本と違う環境で外国人の先生や子供たちと接した経験は役に立つと思います。

シンガポール就職体験談

勤務場所は美容院内の託児所
時間を選べるのが魅力

日本人経営の美容室内にある託児所で、2年ほどベビーシッターとして働いています。施術中のお客様のお子様をお預かりする形になりますが、お客さまは主に日本人なので、英語力は基本的に必要ありません。

 

勤務時間は平日の10時から14時まで。週末は休みになり、自分のスケジュールに合わせて休暇をとることもできます。自分が働きたい時間帯を自由に選べることもこの仕事の魅力です。私にとっては初めての海外生活になるので、こちらの生活に慣れるまでは、自分で仕事の負担をコントロールしたいと思っています。

 

今の仕事は、日本の幼稚園で働いていたときに比べ、先生というより母親に近い役割が求められるように思います。幼稚園の場合、一度に10~20人の子供を相手にしますが、ベビーシッターの場合は基本的に1対1になり、より密度の濃いコミュニケーションが必要になります。

 

資格があれば基本給アップも

日本で短大を卒業した後に資格を取得し、保育士として約10年働いてきました。主人がシンガポールに転勤するにあたり、こちらで保育士資格が活かせる仕事をインターネットで探し、この仕事を見つけました。

 

この仕事に応募するにあたっての条件は、「子育て経験のある主婦」といったもので保育士資格は必須ではありませんでしたが、資格があれば選考でも有利になりますし、時給や基本給が上がることもあります。お客様が安心するという意味でも、資格を持っていることはやはり大事だと思います。

 

海外で保育関係の仕事をした経験は、日本に帰国した後も生きると思います。最近は日本の保育園などでも、親が外国人だったり、ムスリムでハラル食を食べたりと、さまざまなバックグラウンドを持った子供が増えてきています。海外で働く場合、宗教的なことも考慮して子供に接する必要がありますが、こうした経験が日本で活かせる機会はこれから増えるのではないでしょうか。

本多 麻依子さん    ベビーシッター