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Employer's Voice

2010年1月1日

雇用のミスマッチについて、考えてみよう

The Barrel Oil Pte Ltd マネージングダイレクター 梅田哲司

雇用のミスマッチが生じる原因

シンガポールで求職・求人を行なう場合、人材紹介会社を利用するのが一般的かと思います。人材紹介会社は人材紹介のプロ。しかし、人材紹介会社に紹介された求職者と企業との間にミスマッチが生じるのは何故でしょうか。

 

  1. 求職者の過ち⇒十分な就職活動をせず安易に就職先を決めている
  2. 企業の過ち⇒十分な採用活動をせず安易に採用者を決めている
  3. 人材紹介会社の過ち⇒求職者と企業とのミスマッチを助長している

 

三者それぞれに問題があるように思いますが、なかでも、人材紹介会社の数が増え、“悪い”人材紹介会社が暗躍しているために、雇用のミスマッチが生じているように思います。

“悪い”人材紹介会社とは

  1. 明らかに対象外の企業情報や求職者情報を一方的に送りつける会社
  2. 内定をもらった求職者に、「仕事が合わなかったら辞めればいい」「今決めないと就職先はみつからない」などと言って判断を促す会社
  3. 他の人材紹介会社が企業に紹介した求職者のことを悪く評価する会社皆さんにも、思い当たる人材紹介会社がありませんか?

人材紹介会社だけが悪者なのか

一方で、私は一部の人材紹介会社だけが悪者だとは思いません。

  1. 求職者は、人材紹介会社との関係が悪くなることを恐れ、面接や就職先の決定について人材紹介会社のいいなりになりがち
  2. 求職者は、試用期間で辞めてもペナルティがないため仕事を辞めることに抵抗が少なく、とりあえず働いてみようと就職を安易に考えている
  3. 企業は、面接で仕事の適応能力はわからないため、とりあえず働かせてみようと採用者を安易に決めている

求職者や企業の側にも、上記のような問題があるのではないでしょうか。

求職者及び企業への提言

雇用のミスマッチをなくすために、私は以下の三つを提言します。

  1. 求職者及び企業は、 信頼できる人材紹介会社を選んで求職・求人をせよ
  2. 求職者は、人材紹介会社の助言を鵜呑みにせず、断わるべきは断わる
  3. 企業は、社員が短期で辞めた場合の保証を人材紹介会社に求めることのないよう、もっと真剣に採用活動をせよ

良い人材紹介会社を自らの目でしっかり見極めるためにも、求職者及び企業が賢明になることが必要でしょう。

人材紹介会社への提言

シンガポールには多数の人材紹介会社がありますが、サービス内容は金太郎飴状態。人材紹介の方法や料金体系について改革の余地はあるはずです。

 

例えば、求人情報以外の有益な情報やノウハウを伝えることによって求職者から紹介料や手数料を取ったり、企業に対しては、紹介者が短期間で辞めた場合の保証をやめる代わりに紹介料を下げる、というのはいかがでしょう。

 

人材紹介会社がより良いサービスを提供することによって、雇用のミスマッチは減少するはずです。シンガポールで働く方々が、職場環境に恵まれ、幸せなシンガポール生活を過ごされることを願っています。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.159(2010年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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