在星15年の経験を活かして

当社では、かねてより大手日系旅行会社様のシンガポール旅行のカスタマイズのご支援（企業・病院・大学・施設視察、英語学校・ホステル・ホームステイの手配などのコンサル）を行ってまいりましたが、この度グローバル人材育成支援コンサル、ITシステム構築・導入コンサル、起業支援コンサル、記帳代行業務コンサルと業務拡張する運びと相成りました。日本の企業様がシンガポールでグローバル人材を開発する際のご支援や、日本の方が来星しその後起業・システム導入を図り、経理業務を開始するなどの会社運営の第一歩をご支援するワン・ストップ・ソリューションのご提供を企図したものです。

そこで弊社は、従来以上に多くのお客様や地元の提携先企業様との協業が必要となりました。私どもにとって協業とは、地元提携先企業と仕事上の品質・サービスの向上をいかに共有していくか、にとどまらず、交渉相手とのメリットをいかに共有していくか、ということになります。

私は在星15年余りですが、日系最大手IT企業でダイレクター職を務めていた経験があり、その経験から重要なことを3点上げさせていただきます。これは弊社の人事採用・育成の考え方でもあります。

1. グローバルという考え方
   「英会話力」が重要なのは、当然であり、「自主性」特に、日本的な「誰かがやってくれる」という発想では、多人種、多国籍な社会では埋もれてしまう可能性が高いです。国際化、人種、法の垣根越えなどはよく見かけますが、自主性というのはあまり言われていません。特に自己主張を抑え、「背中を見て育つ」という言い方があるように態度をもって業務を教えるような日本的な慣習に慣れ親しんだ方々には、乗り越える壁として大きいかもしれません。しかし、日本国内で勤務しているのとは違い、すべての「結果」についての責任は各自にあります。「英会話力」でも言えますが積極性を持って、つまりアピール精神が重要です。
2. 異文化のリスペクト
   民族ごとに文化も考え方も異なります。例えば私の場合、視察案件につきましては、相手側との交渉がすべてですから、相手側の文化をリスペクトし同時に相手側のメリットを産み出すことを心がけています。シンガポールでは金銭面でのメリットはもちろんのこと、相手側の業務にとってどんなメリットがあるかが必須条件になります。メリットがあると判断してくれれば、事情が許す限り、交渉に応じてもらえます。特に日本人は日本との違いから相手側の文化を差別しがちです。日本文化の押しつけは、何も産み出しません。宗教、言語、態度、行為はもちろん仕事上の考え方、金銭面を含めた価値観も異なります。
3. ジョブ・ディスクリプションの明確化
   特にITシステムの構築・導入・運用について言えることですが、シンガポールでも日本でも複数の企業の協業がお客様に提供するサービス品質に直接影響を与えます。また、ITシステムは、それがどのくらいの規模であれ、業務活動と直結します。しかし、シンガポールでは結果を出すことに固執しすぎて、目標達成のための段取りや準備、グループ内での協調性を欠くケースが見受けられます。ひとつには、自己中心的な主張が多く、もうひとつは、日本的な精神論では理解を得にくいこと、さらには他人の責任範囲を侵さないのが暗黙のルールであることなどが考えられます。
   そこで、職位、職責に関係なく、ジョブ・ディスクリプションをクリアに定義することが重要です。目標、期間、手段、責任範囲をクリアにすることで業務の明文化ができ、多民族・多人種の環境でも協業の品質を上げることができます。

ここ最近の尖閣、竹島問題での反日デモ、暴動を目にすることがよくあります。領土を巡る政治的な問題もありますが、日本人が15年ほど前と比較すると軽く見られており、日本人的な精神論やアピールしないという美意識が通用しなくなってきていると感じます。良くも悪くもシンガポールも日本もアメリカ的になっており、国際社会でももっと自己主張してもいいのではないでしょうか。「お人よし日本人」というイメージを払しょくする時期が来ているのではないでしょうか。

以上、私の経験が少しでもお役に立てば、また、その他ご意見を頂戴できれば幸甚です。