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Employer's Voice

2014年2月17日

人材から人財へ

Marubeni Information Systems (S) Pte Ltd Managing Director 中野 隆 業種:商社

当社はシンガポールに進出してちょうど30年の節目を迎えます。米国本社のシンガポール支店としてスタート、その後の再編で2009年に現地法人へ移行しました。現在は東南アジアの日系製造業のお客様向け電子デバイスの販売や、3Dプリンター、光学式計測機などのシステム、CADCAMのソフトウェアなどの東南アジアでの販促を行っています。

能力を引き出す

私が当地で駐在となってから6年。この間に、採用や人材育成を経験し、能力を引き出す難しさも痛感しています。中には、勤務態度に問題があった人もいます。ある人は、度重なる遅刻や外出後も連絡無しでそのまま直帰、警告を出すも言い訳ばかりで改善しないといった具合。最終的に理由を説明し退社を言い渡したのですが、驚いたことに非を認めた上で「今後3ヵ月無給で働くから、その期間自分の働きを見て判断してくれ!」と1時間以上かけ私を説得にかかってきたのです。結果的に退社してもらいましたが、正直、彼にそんな度胸と粘りがあると思いませんでした。なぜ最後にみせたその必死な粘りを仕事に向けてくれなかったのか「良いところが引き出せていれば改善の余地があったのでは」と、思い悩んだ記憶もあります。

変化への対応

当社のビジネスでは取り扱う商品やマーケットが変わることも少なくありません。その時求められるのは「変化への対応」です。30年前と比べ取扱商品や顧客層も大きく変わり、浮き沈みも経験しながらその都度対応してきました。そんな事情から採用では「変化に柔軟に対応できる人」を重要な要素の一つとしています。過去を振り返っても、様々な変化に対応し長く勤めてくれる人もいれば、馴染めず辞めていく人も少なくありません。

では会社にとって「人財」とはどのような人か、私は「自分の成長のためがんばれる人」、そして「変化に柔軟に対応できる人」と考えています。ただし、会社として成長の場を与え、環境をつくることも重要。いわば「人財」とは人と会社で作り上げるものなのです。その結果、ある日突然、「人材」からかけがえのない「人財」になったなと思える日がくるものと信じています。

日系の各人材紹介会社のご担当からは、目まぐるしく変化するシンガポールの雇用制度やビザなどの情報を提供いただき大変ありがたく思っております。特に今年は雇用制度が大きく変わり、駐在員のビザ取得やローカルスタッフ雇用など、それこそ会社もこの変化に対応しなければなりません。入社してくれた人たちを「人材から人財へ」成長させるべく、皆さま一緒にがんばりましょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.251(2014年02月17日発行)」に掲載されたものです。

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