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社説「島伝い」

2007年12月17日

格安航空会社の運行路線

当初2009年に予定されていた航空自由化が前倒しされ、長らくシンガポール航空とマレーシア航空の独占市場だったシンガポール―クアラルンプール間でも格安航空会社の参入が認められました。シンガポールのタイガー航空、ジェットスター・アジア航空、マレーシアのエアアジアの参入が認可され、2008年2月から運行開始予定です。現在同路線の往復運賃は税込みでS$400以上ですが、格安航空各社が設定する運賃は半額以下になると見られています。

 
格安航空会社が運行する路線を見てみると、中国やインドをはじめ世界各地で急速に経済発展を遂げている都市・地域が多いことが分かります。人の流れが多ければ経済も活性化しさらなる発展へと繋がります。そして、人の移動は今や国境も時間帯も関係なくあらゆるところで24時間発生しており、アジアの国々でも首都圏の空港は24時間運用が標準となってきています。日本政府も、首都圏で24時間運用可能な空港を持つ必要性は認識しており、安倍元首相が打ち出した「アジア・ゲートウェイ構想」の具体化について、福田首相も所信表明で触れていました。

 
世界中でビジネスが24時間動いている昨今、より効率的に進めるために、夜間の時間帯を有効に使える深夜・早朝発着便への需要は今後ますます高まっていくことでしょう。ビジネスの流れが速く選択肢も多い中、移動したい時間帯に移動することが出来なければ、行き先変更の理由にもなりかねません。それによって重大な機会の損失を招いてしまえば、ひいては国益を損なうことになってしまいます。移動したい時間帯に移動できないTOKYOが、世界中のビジネスにとっての「行き先」から脱落してしまうのでは……と気掛かりです。

 
明治維新や、第二次世界大戦後の高度成長の例を見ても、日本は新しいものを外部から取り入れて自分達に合うようにアレンジし、大きな成長につなげてきた実績を持っています。その長所を活かし、国として生き残って持続可能な発展を続けていくためにも、人やモノが自由に行き来できる枠組みづくりは「何年後かには」などと悠長なことを言っていられないのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.112(2007年12月17日発行)」に掲載されたものです。

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