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社説「島伝い」

2008年9月1日

日本文化の浸透

先月23日に日本人会毎年恒例の一大イベント、夏まつりが開催されました。以前は来場者は圧倒的に日本人だったのですが、ここ数年ローカルの来場者が顕著に増えています。今年は朝から激しい雨が断続的に降るあいにくの天候であったにも関らず、ボランティアとして準備のために会場へ午後2時過ぎに到着した時には既に当日券を求める人達の列が。ゆかた姿で傘を差して並んでいるのはほとんどローカルの人達。おそらく日本文化にも強い関心があって、毎年楽しみにしているのだと思います。非常に驚くと同時にその熱心さに感心しました。

 
更に驚いたのは、盆踊りの輪の中に曲に合わせて楽しそうに踊っている10~20代のローカルの若者がたくさんいたこと。海外で日本文化に親しむ若い人達がこれだけ見られるというのは、日本人としてやはり嬉しいものです。と同時に、今年の日本の盆踊り会場で、踊りの輪にあれだけの数の若者たちの姿を見ることができた所がどれだけあっただろうかと考え、ちょっと複雑な気持ちにもなりましたが……。

 
日本の巻き寿司からカリフォルニアロールが誕生して世界中に広まったように、日本文化が海外で浸透して現地の文化と融合し、また新たな面白い文化が誕生するのではないかと思うと、ちょっとワクワクします。今回の夏まつりで、日本文化に触れる機会へのニーズの高さを感じ、日本文化や伝統を海外で伝える必要性をメディアとして再認識しました。

 
今月1日、カットクーポンマガジン『OISHII 』が生まれ変わり、フリー・フード・マガジン『O Plus』を創刊しました。ロゴの『O+』は「オー・プラス」。今後様々な食文化を幅広く取り上げていきますが、この英語媒体を通じて、日本食や日本文化についても伝えていければと考えています。まだスタートしたばかりですが、メディアとして正確な情報の伝達を心がけ、微力ながらも日星の文化交流や人的交流の手助けともなるメディアになることを強く願っており、読者の方々の様々な意見やアイディアもたくさん取り入れていきたいと考えています。街で見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.129(2008年09月01日発行)」に掲載されたものです。

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