シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOPいい選手ならどこの国の出身でも

社説「島伝い」

2009年1月19日

いい選手ならどこの国の出身でも

今年に入って、プロ野球の上原浩治投手、川上憲伸投手のメジャー移籍が相次いで決まりました。昨年引退した野茂英雄氏が1995年にメジャー移籍してから14年、現在約20名の日本人メジャーリーガーがいます。日本の野球のレベルの高さや、選手ひとりひとりの努力、メジャーで彼らが積み上げてきた実績などがあってのことですが、それに加えて、彼らを受け入れる環境があるからこそ可能なことでもあります。以前MLBジャパンのジム・スモール氏が弊紙のインタビューで「メジャーリーグの良い点は、いい選手はどこの出身であってもチームにもファンにも受け入れられること」と語っていたように、アメリカだけでなく、近隣諸国やアジアからも数多くの優秀な選手がメジャーのチームに、ファンに、受け入れられて活躍しています。

 
プロスポーツだけでなく企業も国籍を問わず優秀な人材を採用し、社内で活躍してもらうことで業績を伸ばしていこうとしている企業がたくさんあります。人種も母語とする言語も異なるメンバーが一緒に働くことで、新しい風が入り、互いに良い刺激となって相乗効果が生まれ、チームとしても活性化されます。

 
昨年8月、インドネシアとの経済連携協定(EPA)により、外国人の看護師・介護福祉士候補者208人が初めて日本へ受け入れられました。今後2年間でフィリピンからも1,000人が同様に受け入れられる予定です。現在彼らは6ヵ月間の日本語研修、看護導入研修などを経て、病院での就労・研修に入り、日本の国家試験を受けて日本の資格を取得することを目指します。

 
一部で「看護、介護の人材不足解消のために過ぎない」という批判もありますが、海外からの看護師招へいは、看護師不足が深刻だった90年代初め頃から医療界では既に真剣に議論されてきたこと。「受け入れるかどうか」ではなく、「受け入れ態勢をどう整えていくか」を今こそ考え、実行に移していく必要があります。

 
グローバルスタンダードで「いい人材」が、日本でもその力を遺憾なく発揮できるようになってほしいものです。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.138(2009年01月19日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOPいい選手ならどこの国の出身でも