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社説「島伝い」

2009年9月21日

罪の重さ

覚せい剤取締法違反で起訴された女優の酒井法子(本名・高相法子)被告が、9月17日、40日ぶりに拘置先の警視庁東京湾岸署から保釈されました。保釈後に記者会見に登場し、泣きながら謝罪の言葉を口にしていたようですが、薬物を使用した本人が謝罪会見を行える事に、日本での薬物使用に対する甘さが現れていたのではないでしょうか。

 
これまでにも、覚せい剤取締法違反で逮捕された芸能人はたくさんいましたが、初犯の場合は数年の執行猶予が付くことがほとんどで、芸能活動休止を経て早ければ1年後には芸能活動に復帰しています。「覚せい剤使用」という事に対する重大さや罪の重さが本当に理解されているのか、疑問を感じずにはいられません。

 
日本でも、覚せい剤や麻薬の撲滅キャンペーンは以前からテレビやラジオなどを通じて行われていますが、覚せい剤や麻薬をそもそも使用することのないように、国としてもっと取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。

 
ここシンガポールでは、麻薬関連犯罪に対して、犯罪者の国籍によらず極刑をもって対処する方針を執っています。過去にも大量の違法薬物を所持していた外国人がチャンギ空港で逮捕され、本国からの減刑嘆願があったものの死刑を執行されています。シンガポールの法律で規制されている薬物の取引、製造、輸入、所持、使用、薬物使用のための器具の所持は、すべて刑事罰の対象です。シンガポール国民またはPR保持者は、シンガポール国外で使用した場合であっても同様に刑事罰の対象になるなど、違法薬物への厳しい対応を徹底しています。

 
もちろん、日本も同じように極刑をもって処すべき、と極論するつもりはありません。しかし、覚せい剤や麻薬を使用しても比較的容易に社会復帰が許される事が、罪意識の薄さや再犯率の高さにつながっている面があるのではないでしょうか。殺人や強盗等と同様に重犯罪として、厳しい対応がやはり必要であるように思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.153(2009年09月21日発行)」に掲載されたものです。

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