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社説「島伝い」

2012年1月16日

時差通勤奨励キャンペーン

シンガポールでユニークな時差通勤奨励キャンペーンが始まりました。詳細は「時差通勤奨励で新企画、最高100ドルの報奨金」をご覧頂くとして、時差通勤でお金がもらえるというのは、実際にはEZリンクカードへのチャージという形で現金ではありませんが、シンガポール国民の気質を良く捉えた企画だと正直感心しました。また、これがシンガポール国立大学と米国の一流大学であるスタンフォード大学のチームによるプロジェクトである点も、非常に興味深いと思います。

 
タクシーや車で移動していると、時々ERPのゲート手前の道路脇に車が列をなして停車しているのを見かけます。ゲートを見ると稼働中で、終了時間まであと20分ぐらいだったりしますが、待って2ドル支払わずに通過できるなら、というわけです。また、少額でもクレジットカードで決済する人をレジで見かけて驚く人も多いようですが、現金を出すのが面倒なのではなくポイントを獲得するため。グループで食事した場合などに自分のカードで立て替えることを進んで申し出るのも同じ理由であることが多いようです。クレジットカードは年会費を請求されると解約、年会費免除になるなら継続、という話もよく聞きます。

 
時差通勤奨励キャンペーンに参加したいから出勤時間を変えたい、と日本で言ったら一笑に付されるかもしれませんが、シンガポールであれば応じる会社は少なくないと考えられます。シンガポールではこれまでフレックスタイム制の導入は一般的ではなかったのですが、今回のキャンペーンがきっかけで導入が大幅に進むかもしれません。さらに時差通勤が可能になることで働き方もより多様になり、近年政府が力を入れて取り組んでいるシンガポール国民の就業機会拡大にもつながると考えられます。業種によっては難しいケースももちろんありますが、自社でフレックスタイム制導入が可能かどうか、やるとしたらどのような形が良いか、予め考えて準備しておくことは、リスク回避の意味でもシンガポールで活動する企業が今年やるべきことのひとつになりそうです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.204(2012年01月16日発行)」に掲載されたものです。

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