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社説「島伝い」

2012年7月16日

受ける側の姿勢も大事

ここ1年ほどこの欄でも度々話題にしていますが、日本からシンガポールへの進出が大きな流れになっています。同業他社を見て「あの会社が出て成功しているなら、自分達も」と進出を決めた、と語る経営者も。進出企業の業種もどんどん広がっていて、この勢いは当面止まることは無さそうです。

 
シンガポールに在住する方の多くは、日本から「○○ってシンガポールではどうなっているの?」、「シンガポールの○○市場の状況を知りたい」といった問い合わせや相談を受けたことがあるのではないでしょうか。同じ日本人としては、やはり応援したい、何とかしてあげたい、という気持ちからついつい頑張って、未知のことまで調べたりして、わかることだけでも知らせよう、となりがちです。

 
しかし、そこに意外と落とし穴があるようです。こちらは良かれと思って調べたことが、相手にとって欲しい情報ではなかったり、「このぐらいしか教えてくれなかった」と不満を持たれてしまうケースが、実はかなりあるようです。最悪の場合トラブルになることも。また、「シンガポールに住んでいる人に相談に乗ってもらって当たり前」、「助けてくれて当たり前」といった甘い考えが見られるケースも、残念ながら少なくありません。

 
シンガポール経済は上向きで勢いがある、日本のものはローカルの人達にも受けがいい、といった情報から期待がどんどん膨らんで相手の気持ちが前のめりになっている場合、こちらもつい気圧されそうになります。しかし、シンガポール在住者が当地のあらゆる事情に通じているわけでは決してありません。相談を受ける方も、プロのコンサルタントとして仕事を請けているのでなければ、本当に自分が答えるべき内容かを考え、その答えが否なら、しかるべき別の相手を探してもらうようにうまく伝えることも必要です。

 
今年は、日本からの進出のスピードも一段と上がっています。その勢いに押されて、自分達が本来やるべきことや守るべきペースが崩れないよう、基盤をしっかり持った上で、当地でのビジネスに挑戦する人々を応援したいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.216(2012年07月16日発行)」に掲載されたものです。

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