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社説「島伝い」

2013年6月3日

路上のトラブルを減らすには

今号11ページの記事「自動車運転にまつわる路上での暴行、増加傾向に」にもあるように、運転者同士のトラブルが近年増えています。高速道路では事故渋滞が日常茶飯事です。一般道でも路肩に車が2台並んで止まっている時は、かなりの確率でその横に運転者と思われる人達が並んで立ち、口論の真っ最中であるのを目にします。

 
シンガポールで車を運転していると、「なぜここで?」と思うタイミングでクラクションを鳴らされたり、後続の車に極端に車間距離を詰められる、ハイビームライトを点滅される(俗にいうパッシング)といったこともよくあります。単にマナーが悪いだけでなく、他者の運転に対する怒り(しかも多くの場合は理不尽)を先述のような行為で表すケースが増えているようです。

 
かつて自動車は、国民にとってはなかなか手が届かないものでした。購入が難しい分、皆もっと大事に運転していたように思います。若い人が運転していると、その隣の助手席には車の持ち主でもある親と思われる人物がよく座っていました。自動車部品販売店なども今のようには無く、パーツ交換を伴うような修理には時間がかかることもしばしばでした。

 
従来は、価格の高さが若年者の自動車所有を抑止していた面がありましたが、状況は変わってきています。また、シンガポールでは国民や永住権保有者の場合は運転免許の更新が無く、外国人でも5年ごとに書類への記入と手数料で簡単に更新できますが、例えば、日本や他の国々のように数年ごとの更新を義務付け、更新と併せて講習を課すことで運転者への教育の強化を図るといった策が必要な時期になっているのでしょう。自動車は、一歩誤ると人の命を奪ったり、自らの人生を壊してしまうような大事故を引き起こす可能性がある凶器であること、そのような悲劇を避けるためにも皆が運転マナーを守る必要があることなどを、もっと強く伝える必要がありそうです。

 
状況の変化に即した迅速な対応はシンガポールが得意とするところ。路上のトラブルを減らすためにも今後の対応に期待したいと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.235(2013年06月03日発行)」に掲載されたものです。

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