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社説「島伝い」

2014年4月21日

定年のタイミング

人材仲介会社が実施した労働意識に関するオンライン調査によると、シンガポールの労働者の4割近くが55歳でリタイアしたいと考えているそうです。シンガポールではかつて法定定年が55歳でした。特に40代以上の人には、自分達が社会に出た頃の「働くのは55歳まで」という意識が残っているのかもしれません。しかし、法定定年は1993年に60歳になり、さらに1999年には62歳になっています。シンガポールでは平均寿命が男性80歳、女性85歳と延びている上、少子化も深刻。労働力確保のためにも、法定定年は今後さらに引き上げられる可能性があります。

 
定年制度は国によってかなり異なります。イギリスでは法定定年が65歳でしたが、2011年に廃止されました。アメリカは法定定年がなく、民間企業でもいわゆる定年制度は無いケースがほとんどです。日本では、2013年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、希望する従業員全員の雇用を65歳まで確保するための施策を2025年度までに実施することが雇用主に義務付けられました。年金の支給が2026年度から(女性は2031年度から)完全に65歳開始となることとも関連していますが、支給年齢の引き上げは2001年から既に始まっています。例えば今年度60歳になる男性は、定額部分と言われる老齢基礎年金の支給は65歳から、報酬比例部分と言われる老齢厚生年金(公務員は退職共済年金)の支給は61歳からです。つまり定年後1年間は、年金額はゼロということになります。

 
多くの先進国で寿命が80歳を超えている今、55歳でのリタイア実現はなかなか難しいのが現実。希望するのは、その先に実現したいプランがあって準備も着々と進んでいるから、というより、現状に何らかの不満があってのことが多いようです。

 
一方、60歳で定年後に別の企業へ就職したり、70歳を過ぎても現役のビジネスマンとして活躍する意欲的な人もいます。「年だからもうダメだ」と自分が思ってしまえば年齢には関係なく、そこで終わり。リタイアの時期を決めるのは、制度や環境ではなく自分の意志でありたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.255(2014年04月21日発行)」に掲載されたものです。

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