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社説「島伝い」

2014年5月19日

食への関心がもたらすもの

外食への支出に関するマスターカードの調査によると、シンガポールは支出額が月198米ドルでアジア太平洋16ヵ国・地域で2位。262米ドルで1位だった前回の調査に比べ、今回は支出額が前回を2割以上減っています。為替変動の影響は小さいようなので、単純に支出額が減ったと見ることもできます。

 
今回の調査結果だけ見ると以前よりも外食が控えられているかのようですが、実際それを感じる場面はほとんどありません。外食する人々は相変わらず多く、日本はもちろん世界各国からシンガポールへ進出する飲食店が増え続けています。各国の料理のレベルも一段と上がり、本国と比べても遜色ない料理がシンガポールにいながら味わえます。当然、競争も激しく、料理以外の部分でも差別化を図る必要があります。

 
そこで興味深いのが、先のマスターカードの調査結果にあった、プロモーションへの関心度。支払いの際にクレジットカードの特典が何か無いか尋ねる人は、シンガポール人回答者の実に3分の2以上。人気急上昇中のクーポンサイトなどで割引クーポンを予め購入しておく、という人たちも3割以上いました。であれば、シンガポールの人達のおいしい食べ物への関心の高さや外食を楽しむ回数には変化はなく、プロモーションなどでカード所有者にとってのコストが下がった結果、多少支出が減ったのでは、と考えることもできるかもしれません。

 
食への関心の高まりでいえば、シンガポールの和食ブームは今も続いてます。2013年にシンガポールから日本への訪問者数が約19万人となり、過去最高を記録しましたが、その理由の一つは、おいしい食べ物を現地で楽しむこと。しかし残念なことに、言葉ができないからといって彼らとのコミュニケーションを避けてしまう日本人が今でも多いとシンガポール人から聞くことがあります。これはおいしいんですよ、こうやって食べてみてください、などは身ぶり手ぶりでも十分伝わります。日本語を話さない相手にも臆することなくコミュニケーションできる力を身に着けることは、今後の日本にとって我々が想像する以上に重要なことのようです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.257(2014年05月19日発行)」に掲載されたものです。

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