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社説「島伝い」

2015年11月2日

「チャンスをつかむための工夫」

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、今年1月~9月のシンガポールからの訪日者数は約17万8,000人と前年同期比で3割以上増えています。同じペースでいくと今年は昨年より7万人以上多い30万人を突破する可能性も。隣国マレーシアからの訪日者数もやはり増加傾向にあり、今年1月~9月の訪日者数は約25万人で、こちらも年末までに30万人に達すると見られます。
また、日本の観光庁が調査した訪日外国人の消費動向によると、シンガポールからの訪日者が今年1月~9月に飲食費、交通費、娯楽・サービス費、買物代として支出した金額は一人あたり平均で14万8,000円ほど。昨年の11万4,000円に比べると、こちらも増加しています。近年は東京や大阪などの主要都市以外から入国し、地方都市だけを周遊する個人旅行が増えているのも新たな傾向です。

 

訪日者数の増加に呼応するように、日本からシンガポールをはじめ東南アジアへの進出を検討する企業も増え続けており、年間を通じて大小さまざまな商談会や展示会が開催されています。しかし、その後のビジネスに繋がっていない、という声が残念ながらよく聞かれます。商談会における取引の成約率がどのぐらいなのか、開催後2ヵ月など一定期間内の成約金額の合計は1回の開催でどのぐらいなのか、といったデータもあまり公表されていないようです。定期的に実施されているイベントであるにも関わらず、そもそもデータさえ収集されてない、つまり、日本から進出したい企業と、興味のある業界関係者が集まるだけで終わっているのであれば、本当にもったいない話です。

 

実際に日本に行って、日本のさまざまな食べ物のおいしさや豊かな文化に直に触れて、ますます日本に興味を持っている人が増えていることは、日系企業にとっては大きな追い風です。しかし、この追い風が未来永劫吹き続ける保証はありません。風があるうちに今までのやり方を見直し、チャンスを掴んで次のステップにつなげるために何をすべきか、進出する側も受け入れる側も改めて考えなおす時期に来ているのかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.291(2015年11月2日発行)」に掲載されたものです。

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