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社説「島伝い」

2015年9月21日

「シンガポールの新たな局面」

9月11日に実施された総選挙は、大方の予想通り与党である人民行動党(PAP)の圧勝となりました。投票全体における与党の得票率は前回2011年5月の6割程度から7割にまで回復しました。
選挙の翌日に会った人たちが皆一様に眠そうであるのも、シンガポールではおなじみの光景です。しかし、自治州だった時代も含めてほとんどの選挙区でPAPが勝利しており、もつれるのは一部の選挙区のみ。それにも関わらず夜更かしをしてまで選挙結果を気にするのは、身近な問題だけでなくシンガポールという国の今後を見据えて投票した国民が増えていること、与党の得票率の高さがその後の経済動向にも影響することから、選挙の行方を注目した人が多いようです。
今年は建国50周年という記念の年を迎え、年初から折に触れてこの国の歴史と歩みを振り返る機会がありました。建国の父であるリー・クアンユー元首相が3月に死去したことも大きなきっかけとなり、これまで以上にシンガポール国民の間で愛国心が高まっています。また、過去50年間の飛躍的な発展を氏とともに作り上げてきたのは与党・PAPであったことを多くの国民が再認識しました。その功績が見直されたことも、与党にとって大きな追い風となりました。
今回の総選挙により、与党はリー元首相亡き後のこれからのシンガポールのかじ取り役として改めて国民の信任を得たと同時に、国民の期待を背負ってこれからもシンガポールを発展させ続けるという大役を担ったことにもなります。その役割を果たすために新たな政策が実施される場面も今後出てくるでしょう。シンガポールで働かせてもらう立場である外国人や外国籍企業にとってもその影響は無縁ではありません。新たな局面を迎えつつあるシンガポールとともに、我々もまた柔軟に対応していくことが求められそうです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.288(2015年09月21日発行)」に掲載されたものです。

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