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表紙の人

Vol.343

2019年3月6日

遠山 敦彦さん

Shimadzu (Asia Pacific) Pte Ltd Marketing Innovation Centre Manager

 

ポートレートの写真の背後に写るのは、遠山自身も開発に携わった島津製作所の新しい分析装置。「多くの研究者に使って頂き、イノベーションを起こして欲しいと思っています」。

 

 英国ケンブリッジの自然科学学科を卒業後、「科学技術で社会に貢献する」という社是に惹かれ、島津製作所に入社。当時、同社勤務でノーベル賞を受賞した田中耕一氏の話題で日本中が湧いていた。様々な分野において、先進的な研究開発および品質管理を支える製品群と技術をもつのが島津の強み。入社してからは、その分析技術を医療の分野に応用して新しい価値をもたらすため、東京大学医科学研究所との共同研究に従事した。テーマは癌の早期診断を実現すること。研究に邁進し、論文執筆や学会発表などを行った。実直な技術者集団というイメージの強い同社だが、舞台裏では多くの才能が挑戦を続けている。その過程でもっと世の中に変革をもたらしたいという思いが募った。その思いに呼応するように、基盤技術研究所から分析計測事業部を経てシンガポールに新しく設置された「マーケティング・イノベーション・センター」立ち上げメンバーとして白羽の矢が立ち、第三のキャリアが始まった。「分析技術のエキスパートとしての知識と、学会などで培ってきたコミュニケーション能力を生かして、マーケティングにより技術をイノベーションに昇華させることがミッションです。いつの時代も島津の企業理念を体現した会社として成長していけるよう、一生懸命サポートしていきたい」。

 

 今、プライベートで一番行きたい場所はイギリスで「婚約したばかりの彼女を案内したい」という。思い出深い学生時代を過ごした第二の故郷を二人で訪ねるのが楽しみだと穏やかな表情で語った。ひとつひとつの質問に真摯に応える遠山氏の座右の銘は「正直、勤勉、感謝」。「人の役に立ちたい」という思いが、きっと多くの人々へ届くに違いない。
 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.343(2019年3月1日発行)」に掲載されたものです。

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