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2018年1月1日

「2018年 新年の挨拶」

web329_MrShinoda駐シンガポール
日本国特命全権大使
篠田 研次

 

明けましておめでとうございます。私は、一昨年、前任地の北極圏はフィンランドから赤道直下のここシンガポールに異動いたしましてから、この程二度目の年末年始を迎えることになりました。

 

当地着任以来、私が皮膚感覚として最も強く感じております第一の点は、日本とシンガポールとの距離感という意味での、「圧倒的な近さ」でございます。当地の生活環境やビジネス環境の良さを反映して、現在、在留邦人の皆様の数は数年前に比して3割強増の約3万7千人に達しており、これらの皆様がそれぞれの分野で精力的に活躍しておられますことを見聞させていただき、誠に嬉しく存じております。また、両国間の交流も一層活発になり2016年のシンガポールから日本への訪日客数は、前年比で17.2%伸び、約36万人を記録し、昨年も更なる増加傾向を見せてきております。

 

私ども大使館の広報文化センターに当たりますJapan Creative Centre (JCC)も、昨年は、一昨年の日星外交関係50周年(SJ50)の勢いを維持し、訪問者数、各種イベントへの来場者数等の様々な指標で、お陰様で、むしろ更なる右肩上がりを記録することができました。

 

第二の点は、ビジネス、文化等様々な面で、シンガポールが周辺地域、更には広範なインド太平洋地域の「ハブ」としての位置付けを有しているということです。ここ数年の間に日系企業が「地域統括本部」、あるいは、「グローバル統括本部」を当地に展開・強化される動きも多く見られます。既に種々の実態・実例も見受けられますが、日本企業の皆様がシンガポール企業と連携・協力し、第三国、第三のマーケットに共に展開されるという「日星ビジネス・パートナーシップ第三国展開」の潜在力が益々高まっているのではないかと考えております。

 

ASEANを見れば、昨年ASEAN設立50周年の節目を迎え、経済規模は2兆5千億USドルを超え、6億人を超える人口を有する、世界経済の原動力となっております。日本とASEANは昨年、日本の対ASEAN外交の原則を示した「福田ドクトリン」が発表されてから40年という節目の年を迎えました。更に今年は、1973年に合成ゴム・フォーラムの設置を契機に日・ASEAN関係が正式に開始されてから45年が経過する、「日本・ASEAN対話関係樹立45周年」という引続き節目の記念すべき年であります。

 

本年は、シンガポールがASEANの議長国になる番です。私どもとしては、そのようなシンガポールと協力してASEANとの緊密な関係を更に強化し、また、そのことを通じてシンガポールとのパートナーシップも更に深化させるよう努めてまいりたいと考えております。
最後になりますが、皆様の益々のご健康とご発展を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

 


 

web329_MrAketaシンガポール日本人会
会長
緋田 順

 

新年明けましておめでとうございます。AsiaX読者の皆様にシンガポール日本人会を代表して、新年のご挨拶を申し上げます。

 

シンガポールは、世界経済フォーラムが発表した世界競争力報告ではアジア1位、世界3位、また、世界銀行が発表した2018年ビジネス環境ランキングでもアジア1位、世界2位に位置づけられております。デジタル化、人工知能、IoT、フィンテックをはじめとする技術革新、シェアリングをはじめとするビジネスモデルイノベーションが予測を超えるスピードで進む中、Smart Nationを標榜し先進的な取り組みを進めるシンガポールは、これらのメガトレンドを今後も先取りしていくことでしょう。世界的な環境破壊、自然災害、テロに加え、北朝鮮問題などの地政学的リスクを抱えるアジアではありますが、今後、着々と進む経済連携に伴うビジネス環境の変化の只中で、設立から半世紀を超えたASEANの議長国となる今年、ASEANのみならずインド・太平洋地域におけるシンガポールの存在感と重要性は、益々高まるものと予測されます。

 

中国の台頭やインドの勢いを目の当りにする当地から日本を振り返るとき、正直、日本の未来を憂うところはあります。変化しきれぬ社会システム、少子高齢化による人口減少、技術力・革新力の相対的低下等、日本には待ったなしで解決すべき課題があります。他方、日本の誇る高質なモノ作りやサービスは今でも世界の最先端を走っており、その面で現在の日本にはSmart Nationシンガポールの強みを更に強めると共に、シンガポールの先進性に日本の未来をビルトインさせ新たな強い日本を自ら開花させる潜在力が未だあると考えます。ここに日本の強みとシンガポールの強みが融合することの、両国にとっての重要な意義があるのではないか、そしてインドも含めたアジア太平洋地域の拠点ともなるシンガポールにおける日本人社会の役割は、今後、世界に伍して日本がその存在感を一層高めていく為に、その戦略的重要性を更に増すのではないか、と愚考するものです。

 

1915年の設立以来、日本人会は、社会貢献活動など様々な分野での活動を通じ、シンガポールとの関係強化に大きな役割を担ってきております。今後も日本人会は日本の強みとシンガポールの強みの融合の基盤のような存在であり続けたいと考えますし、2018年を迎えた今年、夏祭りの拡充等を通じ、日本人社会の存在感を更に高めたいと考えます。また、世界最高との評価を得ているシンガポールの教育環境の中で、日本人会は補習校を含め4つの日本人学校を運営しております。毎年約400人が巣立つ日本人学校の優秀な生徒達は、日本の強みとシンガポールの強み、その両者を若くして体感しており、未来の日本に、そして両国友好関係の深化を通じたアジアと世界の健全な発展に、間違いなく貢献してくれることでしょう。

 

最後になりましたが、AsiaXの読者の皆様にとって今年が最高の年となりますよう祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

 


 

web329_MrTochioriシンガポール日本商工会議所
会頭
栃折 卓彦

 

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 

2017年を振り返りますと、2016年に日本とシンガポールが国交樹立50周年を迎えた流れをそのままに、両国間の理解と交流を更に進め、次の50年、国交樹立100年に向かう第一歩となる重要な年だったといえます。JCCIはシンガポールへの社会貢献と両国関係の強化を目的に、1990年にJCCI基金を設立し、長年に渡って様々な寄付活動、奨学金給付などを行っておりましたが、2016年にはこれらの活動が政府に認められ、JCCI基金への寄付額を企業が税務上損金算入できる「IPCステータス」を付与され、昨年よりその運用を開始いたしました。これは当地にある外国商工会議所としては初めて取得が許された資格であり、また、弊所の取り組みが当国で認められた証であります。51年目を迎えた両国関係の更なる深化に向け、JCCIが今後果たす役割にシンガポールの皆様からの期待は高まっているといえます。

 

ビジネスにおいては、ここ数年で急増した在留邦人向け、あるいは地元シンガポール人をターゲットとした飲食などの消費者向けサービスや、現在も集積が進む地域統括拠点などへのビジネスサービスを提供すべく、多種多様な日系企業が引き続きシンガポールに進出しており、また既存の日系企業も積極的にビジネスを展開しております。

 

また、昨年はASEAN(東南アジア諸国連合)の50周年であると同時に、FJCCIA(ASEAN日本商工会議所連盟)が10周年を迎えた年でありました。FJCCIAは10年に渡り、ASEAN地域における日系企業のビジネス環境の改善を目的にASEAN事務局とのダイアログ・要望活動を行っておりますが、特に昨年はシンガポールがその開催地となり、私が議長として東南アジア各国で活動する日系企業の要望を取りまとめ、ASEANのミン事務総長へ提出いたしました。ASEANへの要望には、日系企業の統括拠点が集積するシンガポールからの声が多く反映されており、対話10周年を迎えるに辺り、シンガポールはまさに開催地に相応しい国だったといえるでしょう。シンガポールが本年ASEAN議長国となることもあり、注目を集めた昨年のFJCCIAダイアログによって、ASEANにおける日系企業の存在感を示すことができたといえます。

 

本年も移り変わりの激しいアジア域内で情勢に応じて常に変化し続けていくシンガポールにおいて、JCCIといたしましても、多様化する企業のニーズをしっかりと捉えた事業運営を行うことが今後ますます重要となっております。改めて、普段から弊所活動へのご要望やご提案、ご支援を頂く皆様にお礼を申し上げます。

 

最後に、2018年がアジアエックス読書の皆様にとって、実り多き年となりますことを祈念致しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 


 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.329(2018年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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