卒業後は仙台市内のホテルのバーに2年勤めたものの、地名度の高いリゾート地で働きたいという思いが高まり沖縄へ渡ることを決意。現地のカフェに就職し、念願のリゾート地勤務が叶った。しかし、順調かと思われた生活もたった1年で事態が急変してしまう。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、津波により碇川さんの実家がある大槌町は壊滅的被害を受けてしまったのだ。幸い家族は全員無事だったが、今後の家族の生活が心配になり地元に戻ることを決めた。
大槌町に瓦礫がまだ残る中、これまでの経験を生かし、復興への願いも込めて心機一転、地元に新しいカフェをオープンさせた。経営の傍ら自分の時間も見つけやすくなり、趣味としてリゾート地巡りを楽しむようになった。その間にシンガポールを訪れ、治安が良く住みやすそうだと感じたのを機に、次は海外で働きたいという新たな目標が生まれた。「カフェ運営が軌道に乗ったので経営は妹に任せ、私はシンガポールで就職活動を始めました。そして富寿しグループから内定をもらい、来星してもうすぐ1年。新しい経験が多く、毎日が充実しています」。人見知りでもあるという碇川さん。街の喧騒に圧倒される時もあるが、そんな時に心の支えとなっているのが、お客様との触れ合いだという。「お客様の笑顔を見るため、今日も1日頑張ろうと思うんです」。