2008年12月1日
中薬を使ったお茶の基本・生姜茶
「中薬茶」、つまり漢方薬を使ったお茶を紹介していくにあたって、基本となるのが、生姜茶です。風邪のひき始めなどに、飲まれた経験がある方もいらっしゃると思います。風邪は万病のもとと言われるように、その風邪を撃退できる生姜茶は、万病薬とも言えます。生姜はほとんどの家で常備されているのではないでしょうか。
生姜はれっきとした中薬の一つです。まず身体を温め、発汗作用を促します。第二に吐き気、胸の不快感を取り除きます。第三に食物の解毒作用があります。これらは生姜を剥いた状態での効能で、面白い事に、生姜の皮には、身体を冷やす作用があり、利尿作用があります。中身を使うか皮を使うかで身体に及ぼす作用が違ってくるのです。では以下、生姜の功能を列挙いたします。
- 発汗、解熱
- 去痰、鎮咳
- 吐き気を抑える
- 身体を温たため、保温
- 解毒、殺菌
- 消化増進、胃腸功能を高める
- 抗掻痒症
- 抗潰瘍
- 強心
- 血圧の調整
- 予防血栓
- 意気を高める(気鬱の改善)
上述のように色々な効能を兼ね供えているのは、生姜が循環器、呼吸器の中枢を刺激し、身体の各細胞に働きかけ新陳代謝を促すからです。身体が温まる事で、身体の生理機能が増進し、身心共に充実し免疫力が高まるのです。
生姜茶の作り方
- 生姜を3ミリ位の厚さに切り、フォークなどで10箇所ほど刺す。
これを好みによって2~4 片用意する。
(面倒でなければ、生姜をすって絞り、好みで小さじ2~大さじ1) - 用意した生姜と黒砂糖、または蜂蜜を好みの量、マグカップなどに入れお湯を注ぎ、蓋をして1~2分蒸らす。
(生姜汁を使った時は、蓋はしなくてかまいません。)
さらに、こんな応用もできます。
- 冷え症に……お湯の替りに紅茶を使う。
- 疲労回復に…… 棗(紅棗)1個を生姜茶に入れて、蓋をして3分蒸らす。
- 吐きけ、胃もたれ、胃痛に…… 陳皮(みかんの皮を干した物)をいれ、蓋をして2分蒸らす。
陳皮は市販されていますが、みかんを食べた後の皮を天日で干すか、電子レンジで乾燥させても作れます。柚子の替りにお料理にも活用できますし、冷蔵庫で保存可能です。何はなくとも、ビール……だけではなく、生姜も冷蔵庫に常備してみてください。
文=島田久仁子(Kuniko TCM & Healthcare 中医師)
1991年来星。針灸師の教育を受け、診療所に勤務。「天気ヘルス」を設立し、太極拳、気功、骨格運動、家庭の中医学等、自己の治癒力を高める指導を始める。当地の厚生省による中医師及び針灸師国家試験制度の実施にあたり、新加波中医学院にて6年修業。国家試験を経て中医師及び針灸師として認定登録。新加波中医師公会会員。恩師曹光裕博士に師事。中華医院所属。現在「天気ヘルス」を「Kuniko TCM & Healthcare」と改め、上記の指導に加え健康相談及び治療を行っている。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.135(2008年12月01日発行)」に掲載されたものです。