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「海外勤務でも残業代は必要!?」~出向であれば、労働契約の範囲内で必要に~

私は、日本で和食の店を5店舗経営しているものです。この度、シンガポールに出店するために板前と店長の2名を現地に出向させます。海外なので残業代は支払わなくてもよいのでしょうか。(A社 Gさん)

 

残業代は、労働基準法(以下、労基法)を根拠に支払うのですが、この労基法は、労働者の労働条件(賃金、労働時間等)について最低基準を定めた法律であり、『労働者』であれば国籍、パート等の身分、契約の期間を問わず当然に適用されます。ただ、労基法は原則として日本国内の事業場に対してのみ適用となるため、海外事業場に対しては、その適用はおよびません(属地主義といいます)。しかし、出向するお2人は、あくまでも貴社を退職するわけではないですし、労働契約そのものが「海外だから」という理由のみで無効になるわけではないので、その契約に残業代の支払いが取り決められていれば、当然支払わなければならないのです。もし、異なる取扱いをするのであれば、出向にあたり、その旨本人と同意するなど書面で取り交わしておくことをお勧めします。
なお、国内で管理監督者と認められている者と同様の役職であれば、引き続き残業代を支払わない取扱いでも問題ないでしょう。