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2013年1月21日

パキスタン編①:テロ報道に隠れた『普通の国』パキスタンのポテンシャル

Crossborder Research Pte LtdManaging Director 碇 知子

舗装された片側3車線の広い道路。緑の街路樹。ごみひとつ落ちていない道……。どこのことだと思います?シンガポール?プトラジャヤ?いえ、パキスタンの首都、イスラマバードです。昨年11月、ジェトロ主催のパキスタンミッションに参加した23名。その多くにとって初めてのパキスタン出張。そして皆が一様に感じたことが「ここって本当にあのパキスタン?実はパキスタンって普通の国かも」ということでした。

 

若年層が多い世界第6位の人口大国

2012年12月29日、バス炎上で6人死亡、年明けすぐの1月2日にはオートバイに仕掛けた爆弾で4人が死亡。こんな事件の報道ばかり目にしていたら、「テロの温床」「危険な国」というイメージが脳に刷り込まれてしまっても仕方がありません。しかし、パキスタンは世界で6番目に多い1億8,000万の人口を抱え、将来的には米国などを抜いて世界第4位の人口になると言われている大国。さらに20歳未満の人口割合が全体の46.6%とASEANのどの国より高く、若年層が多い国です。国連の予想では、2050年になっても人口の50%を35歳以下が占め、労働市場としても消費市場としても有望なのです。

 

経済も着実に成長しています。1947年の建国以来マイナス成長は1952年の一度だけ。二桁の伸びといった急成長はありませんが、地震や洪水に見舞われてもプラス成長を続けてきました。パキスタンからの海外出稼ぎ労働者による本国への送金も年々増え、今や月額およそ800億円。この海外送金も国内経済を潤わせ消費市場を伸ばしています。GDPはベトナムの2倍弱の2,339億ドル、1人当たりGDPはベトナムとほぼ同じで約1,320ドル。最後のフロンティアとして注目を集めているミャンマーの824ドルを大きく上回ります。

 

アセアン新興国とパキスタン、インドのGDPと人口

GDP
(100万米ドル)
1人当たりGDP
(米ドル)
人口
(100万人)
20歳未満
人口の割合
タイ345,6505,39569.128.1%
インドネシア834,3353,512239.936.0%
フィリピン224,7712,34593.345.8%
ベトナム123,6001,37487.833.8%
ミャンマーN/A82448.034.9%
カンボジア12,50685314.144.1%
インド1,717,9471,5141,244.640.4%
パキスタン233,8791,320173.646.6%

註:GDPは2011年、人口は2010年
出典:ジェトロウェブサイト、パキスタン統計局、国連人口統計などより作成

知られざるスーパー親日国

一般的に東南アジア諸国は親日と言われています。しかしパキスタンの親日度はそれ以上。日本ブランドへの信頼も高く、街を走る車はほとんどが日本車です。パキスタンで現地生産されている乗用車は日本車しかないという事情もありますが、最近増えている輸入中古車も人気は圧倒的に日本車です。御多分に漏れず、二輪車は中国、家電は韓国や中国製品に押されていますが、現地の人に聞くと「お金があれば日本ブランドを買いたい」と言います。

 

加えてパキスタンの外資政策は非常にリベラル。小売業を含めほとんど全ての業種で100%出資が可能です。昨年には特別経済区法が成立し、特別経済区の開発企業や進出企業に対し、10年間、関税などの諸税が免除されることになりました。

 

日本への高い期待

今回のミッション行程中、ザルダリ大統領主催の昼食会も催され、大勢の閣僚、財界人も集まりました。これも日本との経済関係強化への期待の現われです。

 

「パキスタン?出張禁止なんだよ、うちの会社」という声もよく聞きます。2010-11年度の日本からの投資は320万ドルで全体の0.2%。自動車関連投資により最近では最高額だった2007-08年度でも1億3,120万ドルで、全体の2.4%と日本のプレゼンスは低迷しています。

 

しかしパキスタンはテロリストと犯罪におびえた市民の町ではなく、1億8,000万人が普通に暮らし、買い物をし、ビジネスをしている国なのです。もう少し日本からの注目度が上がってもいいのではないでしょうか。

 

※本文中の通貨ドルは米ドル。

パキスタン

街路樹や街灯もあり整備されている車道と歩道。(写真:新谷大輔)

文=碇 知子

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.227(2013年01月21日発行)」に掲載されたものです。

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