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「社会保障協定ってどんな制度!?」

私は、3年近くシンガポールの現地法人に出向社員として勤務しています。先日、中国に海外赴任している同僚が「日本と中国は9月に社会保障協定が締結されるので、今後は中国の社会保険に加入しなくてよくなる」という話をしていました。私は日本の社会保険に加入しており、シンガポールの社会保険には加入していませんが、そもそも社会保障協定とはどういったものなのでしょうか。ご教示ください(Oさん)。

 社会保障協定とは、海外赴任者が自国と赴任した国とで社会保険を2重に加入しなければならなくなることを避けるために、2ヵ国間で社会保険の取り決めをした協定のことです。
 2019年9月時点において、日本との間で社会保障協定を発効している国は20ヵ国。ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国となっています。また未発効ですが署名済の国は、イタリア、スウェーデンとなっています。Oさんの同僚が言う通り、中国とは 2019年9月に発効されました。なお、国によっては、将来年金を受給しやすいように、2ヵ国で年金制度に加入していた期間を通算する取り扱いもあります。
 ところで、シンガポールの社会保険制度であるCPF(中央積立基金)に加入できるのは、シンガポール国民と永住権保有者となっています。原則日本からの赴任者は加入できないため、シンガポールの場合は社会保険に二重で加入する問題が発生しないことになります。
 
▶ このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アジア進出担当 執行役員