AsiaX

「日本在住の両親を健康保険の扶養にできるの!?」

 私はシンガポールに5年近く海外赴任している者です。私の両親は日本に住んでおり、飲食店を経営しているのですが、高齢になったこともあり、近々店を閉めることになりました。そこで質問です。現在両親は、2人とも国民健康保険に加入していますが、店を閉めて収入がなくなった後、私の扶養に入れることはできるのでしょうか。なお、両親は、2人とも年金を6万円ほどもらっており、それだけでは厳しいので私が帰国した際に、ある程度まとまった金額を渡しております。(Kさん)

 健康保険の被扶養者となるためには、1)被保険者の3親等内の親族であること(続柄で同居要件あり)、2)主として被保険者により生計を維持されていること、このいずれの要件も満たす必要があります。そして、3)の『生計が維持されている』とは、被扶養者の年収が130万円(月収10万8千円)未満でかつ、被保険者の年収の1/2未満であること(同居のケース)または、被扶養者の収入が仕送り額より少ないこと(別居のケース)が要件になっています。

 

 そのため、ご両親が飲食店を廃業され、年金だけだとそれぞれ6万円ほどの収入とのことですので、月ベースで2人の年金額12万円を超える額の援助をKさんがされており、ご両親と同居されている兄弟がいなければ、健康保険の扶養に追加できます。なお、手続きには、年金収入がわかる書類、住民票、(非)課税証明書、確定申告の写し、仕送り額がわかる書類などが必要になります。Kさんはご両親に手渡しで援助されているとのことですので、健康保険組合などに添付書類や扶養にできるタイミングも確認してください。ちなみに、75歳以上なると後期高齢者医療保険に加入することになるので、ご両親を扶養できるのは、75歳までになります。

 

▶ このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アジア進出担当 執行役員