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現代女性に”起業”という新しい生き方を提案する – 世界へ羽ばたけ、女性起業家たち

女性起業家を取り巻く環境が変わりつつある―1月、東京都が打ち出した『東京APT Women第3期海外派遣プログラム』がシンガポールで開催された。女性ベンチャーを支援・展開をサポートする短期集中型育成プログラムで、スケールアップのためのスキルや経営知識、またVCやメディア、大企業などとのネットワーク作りを支援するのが目的。現代女性に“起業”という新しい生き方を提案し、将来への希望や明日への活力の足がかりとなるべく、今回は、走り始めた女性起業家たちのエナジティックな本音をお届けする。

 

 MAITE(マイテ)代表
吉田彩子 さん

埼玉県出身。津田塾大学国際関係学科卒業。日本の大手アパレルメーカーの製造受託をするグローバルな縫製工場の日本顧客担当として、営業や生産管理に約5年間従事。その後、学生時代に取り組んでいた国際協力活動での縁をきっかけに、南米ペルーのアルパカ素材を活用したニットウェアブランド「MAITE」を起ち上げる。保温性と肌触りの良さに優れた衣服やストール、レッグウェアなどを日本とペルーで製造。職場で冷えに悩む働く女性から人気が高い。

 

株式会社スルシィ代表取締役兼デザイナー
関谷里美 さん

栃木県出身。美大卒業後、ニットデザイナーの傍ら、青山で25年間、猫をテーマにした輸入雑貨店を営む。休暇に訪れたセブ島の手作りバッグの魅力に引き込まれるも、作り手への賃金の安さに驚き、起業。仕事のないフィリピンの女性へ、かぎ針での手編みの技術指導を現地で行い、地産の天然素材ラフィア(椰子の葉の繊維)でバッグを制作。公正な対価を支払うことで彼女たちの日々の暮らしを支え、社会問題を解決しつつ持続可能なモノづくりを目指す。

 

あきざくら代表
山村沙世子 さん

信州大学人文学部卒業。株式会社すかいらーくで店長、新卒採用担当歴任後、株式会社リクルートに転職し、ホットペッパーの企画営業に従事。2013年に独立、マーケティングのコンサルタントや講師などを務めた後、2017年4月『あきざくら』を立ち上げた。「Re(リ:再生の意)」の文化を広め、人と人が温かくつながる世界を目指し、着物をアップサイクルした「自分で咲かせるおもてなしアート”着物傘”」を現在、日本とフランスで展開中。

 

コグニティー株式会社代表取締役
河野理愛 さん

1982年生まれ、徳島県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学在学中にコグニティの前身であるNPO法人を設立。卒業後、ソニーのビジネス戦略部門やDeNAを経て、2013年、「認知バイアス(※)を取り除く」ためのソフトウェアの開発を行う、コグニティ株式会社を設立した。営業トークや面談などを数値で表して評価、そしてフィードバクする解析サービスシステム、「UpSighter(アップ・サイター)」を提供。欧米からアジアまで従業員の100名以上が遠隔勤務している。
※認知バイアス=心理学用語の一種で、認知や思考の偏りを指す。無意識下で偏った思考や歪んだ(バイアス)情報を取り入れてしまい、正しい判断を下せない現象のこと。

 

株式会社バルドゥッチ代表取締役
バルドゥッチ淳子 さん

1977年東京都生まれ。アルゼンチン人と結婚。米国UCバークレーエクステンション卒業後、商社、大手国産化粧品会社の国際部に所属し、世界の有名百貨店におけるブランドローンチや育成に従事。世界で広く習慣化されているデリケートゾーンケアに着目し、かつ、欧米におけるウーマンズウェルネス(女性の健康と幸せ)の概念が社会的に定着していることにも触発され、日本発デリケートゾーンのケアブランド『トレスマリア』を設立した。


AsiaX:起業に至った経緯について教えてください。

 

河野:日本の巨大メーカーで工場を潰すリストラクチャリングなど物事をターミネートする仕事を、世の中良くしようという気持ちでやってましたが、このまま潰れゆく仕事(への従事)を続けていいのか、と20代の最後で悩みまして。もっとグローバルにと思って転職したら、社会を良くすることよりも業績に必死な全然違うマインドの仕事。また転職?じゃないなと思って始めたのが今の会社です。海外につながる仕事、かつ、日本の良さを使って雇用を広げたいとこの2つを絶対目標として掲げてやってます。むしろそれ以外の仕事をやる必要がない。サラリーマン時代の様々な体験が今の原動力につながっています。バブルもはじけたし、震災もあったし、大変な局面を経たからこその気づき、それを仕掛けていきたいと思っています。

 

バルドゥッチ:日本製の化粧品は海外でとても評価が高いにもかかわらず、デリケートゾーンのケアは遅れている。このケアは女性の健康と幸せ、つまり、ウーマンズウェルネスにつながっていて、欧米では30年も前に始まった社会に浸透した概念。是非、日本に紹介して根付かせたいと思い、始めました。私の娘が大きくなったときに優秀な女性が日本にいたいと思えるような日本作りを、そのためには私たちが今、新しい産業を生み出していく。これは日本の将来にとって大事なことだと考えています。

 

関谷:デザインが好き、モノを作るのが好き、人が好き、そのつながりが好き、誰かに必要とされている。この仕事がなくなったら困る人がいる。仕事も求められているし、私という存在も求められている。これが起業した理由の全てです。「かぎ針1本でフィリピンの女性たちの未来を切り拓く!」をモットーにやっています。

 

(一同)おお!素晴らしい・・・。

 

山村:世界に出す日本の良さという意味で河野さんと結構似ているなあ思って聞いていました。人と人との温かい関わりが減って、ぎすぎすした人間関係、自分さえよければいい、自分のことだけで手一杯みたいな風潮。戦争とかテロとか世界には不穏な空気が漂っていて、ちょうどその頃自分自身が心を壊しかけたのも重なりました。世界平和への思いと「調和」―昔からの日本の古き良き精神性、これを広げたい。日本には今、40兆円分、8億点の着物がたんすに眠っていると言われていて、生活様式の変化から祖母様やお母様から譲り受けたものの使えずに持て余していたり、泣く泣く捨てざるを得なくなってしまっています。日本の伝統の象徴である着物を守ると同時に新たなスポットライトを当てられたら、と思いました。職人さんが精魂込めて作っているので(傘の)値段は安くはありません。購入という選択肢以外にもウエディングやイベントなどのレンタルでの利用という方法もご提案しながら、試行錯誤しながらやっています。

 

吉田:国際協力で、自分とかけ離れた環境に生きている人たちを知りました。日本だったらアルバイトすれば収入もできるし、食べ物も何かしらありつける。(南米で)それすらないという環境を目の当たりにして、日本ではどう失敗しても死にはしないし、生きていく手段がある。やりたいことがあるならやってみようと思いました。

 

AsiaX:今回のプログラムを終えて、感想を聞かせてください。

 

バルドゥッチ:実際来てみて、(シンガポールは)本当にハブだな、と思いました。日本にいたら日本の市場の話しかしないし、まず日本でやってから海外考えるわ、ある程度軌道にのってからじゃないと失敗するよって皆さんおっしゃるんですけど、こちらのかたは当たり前に近隣諸国が入ってくるから、始めからシンガポールだけで見てない。海外戦略という言葉も誰も使わない。人々のセンス自体がもうハブ。

 

河野:英語圏の展開、かつアジア圏だから距離も近いしオペレーションしやすいと思ったら、結構な割合で中国語使ってるんですよね・・・。思い込みではなくちゃんと見て(ビジネスを)考えるいいきっかけになりました。今回、様々な分野のアジアのヘッドクオーターの方々とお会いしたんですが、刺さるところが日本と違う。ローカライズというよりも、ニーズを掴むことが非常に大事だと思いました。

 

山村:価値観が違うことで困ることもなく、シンガポール人優しいな、と。(日本と)ギャップを感じなかったのはプロダクトの関係上、日本人に会う機会が多かったからかも。ピッチイベントでインドやドバイの方を紹介出来ると言われて、やっぱりシンガポール、これがハブか、と実感しました。

 

吉田:マーケティング的に見ると、チャンス本当にあるんだろうか、と来る前はネガティブでしたが、来てみたら(チャンスは)まったくないというわけじゃない、可能性はあるな、と少しポジティブになった気がします。アパレルが伸びているのはアジアと中東だけなので、どうにかしてアジアを考えないとこれから先難しい。でもアルパカだし。まだいろいろ課題はあるけれど、どうやってアジアに入るか、という課題を見つけたことは大きいです。

 

関谷:日本を通さずに現地の売り上げを立てるので、今回、ディストリビューターかホールセラー見つけて、そこから東南アジアに流れていけば、と思っていたんですが、それが結構難しいとわかりました。お手伝いさん=フィリピン人。ラッキープラザ=フィリピン。東南アジアのモノと比べたら、バッグが1万円ぐらいするという時点ですでにネックがある。(ビジネスの)背景以前に難しい。でも今回のイベント終盤でファッション関係の方が、エシカルやサステナブルは今からがスタートだ、と仰ってくれて。社会起業家とかソーシャルビジネスという動き。そういう意味で、(シンガポールは)遅れていると思います。マーケティングとかブランディングとかそういう話以前の問題です。そういう意味ではこれから、という期待を持っています。


AsiaX:今後の展開について。何か新たに思うことは。

 

山村:藁でもすがる勢いで飛び込み営業したり、めいっぱいアポ入れて人と会って日本でここまでやったことあったかな、逆にここまでやらないとダメだな、と気づきました。日本に帰ったら飛び込みしたくてしたくてしょうがないくらい。リスト作って片っ端から行くぞ、みたいな(笑)。日本人の方々がすごく好意的に助けてくれて、今後はこちらのイベントや百貨店で(商品を)見てもらえる足がかりができました。2020年の東京オリンピックに向けて、(日本に対する)シンガポール人の感度が高くなっているとお聞きしたので、今年何とかこの傘を持ってきたいです。ただ売ってくれる人より日本人がどういうスタンスでモノづくりしているか、その文化背景を伝えてくれる人を探していたので、日本語も話せるローカルのパートナー(ディストリビューター)とお会い出来てうれしく思っています。

 

吉田:ブランディングをもう一度明確にして、そのメッセージをグローバルサイトにのせるべく早急に体制を整えること。一気にマーケティングや広告にお金を出せないので、ここで繋がった人たちにSNSを使って、WhatsAppとかそういうレベルからですね、3〜6ヶ月ぐらい情報を流して反応を見たいです。パートナーやディストリビューターを探すやり方を当初考えていたのですが、今はブランディングがしっかりできれば、ECなどで直接展開するのもアリだなと思っています。

 

河野:去年の半ばぐらいからこれまでのダイレクトモデルからOEMモデルに方向転換して、今回どのくらいのモデルをスケールできるか調査したんですが、総じて皆さんAIの生産性に非常に興味をもたれている。政府も力を入れたいと思っていて、非常に動きが早いです。日本でフィットしないところに響いてくれます。日本は(従業員の)トレーニングにむちゃくちゃお金をかけていますが、こちらは採用とか評価にノーマライゼーション、スタンダライズしたい、むしろこっちにお金をかけたいと。将来的にやりたいと狙ってたところ、かつ、一歩先のマーケティングテストができる実感とともに早くやんなきゃという思いです。日本でもパートナーシップに切り替えていこうとしていますが、(シンガポールでは)必要であれば法人も考えています。

 

バルドゥッチ:今回、話をしていて日本ではへえ、と聞いてもらえるところが、こちらではシーンとなって、ポイントがぜんぜん違うんだなと思って。皆さん同じこと感じたと思うんですが。あと美容やお悩みの話をするよりも、ウーマンズ・エンパワーリングの話をしてた方がローカルに刺さるんだな、ということ。「ローカリゼーション」を念頭においてブランドコンセプトから見直します。皆さんにグサッと刺さるようなブランドになるためには、(パートナーシップで)ローカルの方の力が必要ですね。

 

関谷:来る前まではもっと受け入れられると思っていましたが、それよりも前にやれることがある。何で(他の東南アジアの製品と)値段が違うのか伝えるために、ソーシャルビジネス、持続可能な部分を掘り下げていきたいな、と思っています。このバッグが出来た背景、この繊維はどうやって作っているのか、違う切り口、かつ一歩進んだ課題解決策としてシンガポールの学生さんや自閉症の人たちと一緒に何かが出来たらと思います。

 

AsiaX:生産性向上につながる、就業環境作りについて。仕事へ
のモチベーションをあげていくために取り組んでいることなどありますか。

 

河野:実はまだフルタイム4人しかいないんですが、関わっているメンバーを入れると160人超。8割以上が女性、海外駐在の日本人主婦の方も多くて、アメリカ、ベルギー、台湾、フィリピンなど海外からのリモートワークです。パソコンすら仕事で使ったこともない方が2割いるので、とにかくITリテラシーのトレーニングが必要。がっちがちにルールひいてネット上から全部できるようにしています。定例会議とか全く経験のない方も多いので、議事録の書き方とかそういうところからリモートで研修を入れたり、あとテストやドリルをやって合格したらその仕事が出来ます、というようなルール作りを徹底して。あと、テキストやボイスチャットでの会議ですね。小さいお子さんがいる方、横でワーワー泣いててその間切ってても、あとでキャッチアップできるようにしたり。でもリモート仕事にはコントロールしにくい、お互いがギスギスするなどの弊害もあります。お互いに顔を見たことのない人間と一緒に仕事する、テキストとメールだけだから全てが怒られているような気がしてしまう。いろいろ解決策を模索したんですが最後はベタベタで。今週は特に顔文字を使いましょう、とか。「これは~~なの?ニコっ(スマイルマーク}とか使ったり。

 

(一同)笑。

 

バルドゥッチ:私のところも主婦の方、私も含めて小さいお子さんがいる方もいて、子供がインフルエンザでお休みもよくある。そういう場合、自宅で働いてもいいようにしたり、時間もフレキシブルにしています。同じ3時間働くのに子供が寝てからでもいいわけだし、お互いにとってメリットのあることをしたい。すごく有能な女性がたくさんいるのに、結婚や出産をしてキャリアを継続できない人が多い。今後そういう方々のモチベーションのポイントをしっかりと理解して、一緒に働いていきたい、とこっちに来て改めて強く思いました。ここはお手伝いさんも定着しているし、日本にはない社会インフラが整っていて、また教育も連動していて本当に素晴らしいですね。

 

関谷:日本では正社員がいないんです。そのつどアルバイトを雇ったりしている。セブ島では来るもの拒まず、去るもの追わずー。

(一同)ええっ!(笑)

 

関谷:でも、必ず戻ってくるの。ちょっと浮気して違う仕事してまたちょろっと帰ってくる。信頼関係ですよね。給料はいいし、工房には何時に来てもいい。一種の「駆け込み寺」にもなっていて、何か書類を書かなきゃいけなくて書き方が分からないときとかここへ持ってきて誰かが代わりに書いてくれる。なんか困った時にもここに来ています。

 

山村:職人さんとの関わりはありますが、従業員がいるわけではないので、まずは自分の生産性をあげる。いかに自分がご機嫌でいられるかをすごい意識しています。関わって下さる方にも最大限関わってもらえるように、私自身の思い、社会的意義とか実現したいことを伝えたり
体現して、関わったら楽しいだろうな、と思ってもらえるようには意識しています。

 

吉田:フルタイムは自分だけで、リモートでアルバイト4人に手伝ってもらっています。今までバリバリ仕事してたのに、いきなりだんなさんの転勤で海外に行くことになったお母さんたちで、すごい優秀なんですよ。でも仕事しないで今、海外でひっそり子育てしている。そういう人たちを積極的に見つけ出していこうと思っています。


AsiaX:グローバルに活躍していく上での女性像は

 

河野:こちらに来てちょっと驚いたことがあって。今回、とある会社のテクノロジー部門の女性ボスにお会いしたんですが、これが結構強い。怖いと思っちゃうぐらい。こんなにイコール(平等)に働けるんだ、と。日本ではあまり見かけたことがないタイプでした。

 

バルドゥッチ:こちらに来て男女平等とか女性支援とか、そういう言葉を聞かないですよね。(日本は)男女不平等だったのかな?と思うくらい。今回、いろんな事情が重なり子供連れて来ましたが、皆さん快く対応してくれて、辞退せずにこうやって参加出来て本当に感謝です。主婦にとって海外出張はとてもハードルが高いし、夜中にミーティングもあったりする。娘は今、グローバルは当たり前、ママは夜でも働くんだ、という感覚を肌で感じているはず。声高にただがんばろうといっても、こういうメンタリティを変えたり育てていくのにはすごく時間がかかる。子供たちがこういう進歩的な環境の中で育っていって、それが当たり前になるように。そうすれば日本の未来はもっと明るくなると信じています。

 

山村:私は独身で子供もいないし、女性支援の機会を頂いたのは本当によかったなあ、女性でよかったなぁとのんきに思っています。この流れは続いて欲しいです。

 

吉田:国際結婚なんですけど、家事の分担とかの問題がないから(仕事が)できてる。まわりはそういうところがひっかかって仕事をあきらめたり、まして子供がいたらなおさら。マインドの整理、というか、もうちょっと女性も家事をやりすぎずに、男性もできるほうがやればいいよね、というようになればいいな、とずっと思っています。今回、バルドゥッチさんの娘ちゃんと同行して、そこで、それは大変だ、それじゃあどうするとか大騒ぎするんじゃなくて、ああ、そうなんだね、と滞りなく進んでいく様子を見てとてもハッピーでした。子供を連れてでも仕事が出来るという空気作りというか、日本にもっと増えたらいいなと思います。

 

関谷:お手伝いさんつけるのはぜいたくだとか、そういう罪悪感というか、そういう凝り固まった感覚が日本からなくなればいいですね。そもそもフィリピンは子供が多いので、(子連れは)まあいいよという空気がある。誰かの子供が泣いていたらみんなであやす。人前でもおっぱいあげたり。そういうのが日本でも増えればいいなと思っています。子供は働くお母さんの背中を見て育つ!

 

河野:私、先ほどの怖い女性マネージャーがまだ頭に残ってまして・・・。

 

(一同)(笑)

 

河野:これから世代が変わってそういうキャラも出てくるとは思うんですが、今モデルケースがないんで、我々もキャリアのイメージが出来ない、限界があるような気がする。

 

バルドゥッチ:確かにキャリアパスが描けない・・・。

 

山村:どういう感じの女性だったんですか?

 

河野:問題点から先に指摘していく。まったく妥協しない話し方。日本の男性の方が、(問題点や懸念材料を)包むというか空気を読んでくれるというか。でも、グローバルで仕事するとなると、彼女みたいに一番リスクのあることから聞くのがいいのかもしれない。そういうことを女性がやるのはどうなの、という日本ではそういう空気があるから。そういう強い女性の方々の情報がほしいです。

 

AsiaX:世界にどう発信していきたいか。将来への熱き決意とメッセージを。

 

河野:AIの会社はデータが勝負。人の手でデータの整理をする生産工程なので、正確さや細かさなど日本人が得意なことを意識しつつ、かつて製造業で日本が発展したように生産効率化してビジネスを広げていきたい。その際に(日本の)アイデンティティーの確立が必要だとつくづく感じています。賛同してもらえる人に(会社へ)入ってほしいです。

 

バルドゥッチ:メイドインジャパンだから高品質は一昔前のこと。そこにどう革新を入れてくか。シンガポールは中国本土から来た女性たちが建設現場で一生懸命働いたりして作られた国と聞きました。私やブランドが「日本の資源」だという想いでがんばりたいです。

 

吉田:日本だからクリエイティブとか日本のデザインとかそれだけじゃ響かないと感じました。ストーリーラインだったり、実際の効果や機能もフィットさせなきゃいけないと。精度や真剣さなどモノづくりに対する厳しさとかはやはり日本ならではだと思うので、その良さを伝えてい
きたいです。

 

山村:そこに何があるのか、モノの背景、「ストーリー」を継続的に伝えていく。海外の人に販売をしていくにあたって、日本を知ってもらってより好きになっていただけて、お互いにいい感情が生まれたら素敵ですよね。

 

関谷:フィリピンとかデザインとか何にも言わなくても売れるのがベストだけれど、マーケティング、ブランディングも大切。バランスを見据えていきたいと思っています。