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遺伝子検査キット“GeneLife”でパーソナルヘルスケアを普及、多人種国家シンガポールで、パートナーとともに幅広い展開も

アジア最大の遺伝情報データベースを保有するジェネシスヘルスケアが4月、シンガポールに100%子会社「Genesis Healthcare Asia PTE LTD」を設立した。同社は2008年にコンシュマー向けブランド“GeneLife”を立ち上げ、民間向け遺伝子検査キットの発売を開始。以来、デジタルコンテンツ化を進め、15年からはアジア8ヵ国でも事業を展開してきた。

 

Genesis Healthcare Asia PTE LTD
Director, 支社長
宮部 喬史氏

 

検査の普及を願い価格面での挑戦も続けており、例えば以前は数万円以上した肥満遺伝子検査も同社では5分の1程度の価格で提供している。近年では手軽に生まれ持った自身の疾患リスクを知り、体質に合った予防法を選択できるようになった。「健康管理において食べ物の選び方、運動の仕方など、人には遺伝子型によって相性があるのです」と宮部氏。糖質・脂質・タンパク質の吸収や代謝なども遺伝子型によって異なると言い、「ダイエットする際には炭水化物を抜く人が多いですが、実際には脂質だけ控えれば十分の人もいるのです」と、遺伝子検査に基づくパーソナルヘルスケアの効果を説明する。

 

「E-Healthは、デジタル文化のシンガポールとは親和性があると思います。遺伝子情報をアプリに入れておき、それを医師に示せば、治療や薬の処方の参考にすることもできます。人種構成も多様で、遺伝学研究のモデルケースを作るという観点でも良いですね」と言い、シンガポールを拠点に“GeneLife”の東南アジアへの普及・発展を目指していく。

 

遺伝学研究でアレルギー疾患の根本原因究明
「アレルギー、子供に遺伝させたくない」

「私自身アレルギーがあり、子供に遺伝しないでほしいとずっと思って生きてきました。慢性病の苦しみは分かっているつもりです」と話す宮部氏。「遺伝学研究に出会って、私の家系は代々アレルギー疾患を発症しやすい遺伝子を持っていたことが分かりました。今後さらに研究が進めば根本的な原因を究明できると確信していますし、それに対処するための医薬やライフスタイルを選択できるようになります。やらなければいけないことがたくさんあると思っています」と笑顔を見せる。

無限の可能性秘めるデータベース
将来はパートナーとともに幅広く活用

遺伝子検査結果を分析、情報をデータベース化し、AIを用いて最適な提案をしていく中で、想定外の発見も多いとのこと。「社員の健康管理に遺伝子解析を活用したいと考えている企業も多くなっています。社員のコレステロール値や尿酸値などの改善が上手くいかないケースがありましたが、当社の検査の結果遺伝的に数値が高く出やすい体質であることがわかりました。双方結果が伴わないことに悩んでいたので分析結果にはご満足いただきました。また、遺伝的体質と生活習慣をもとに個人に合わせたヘルスケアプログラムを提案する試みを進めていますが、膨大なパターンからAIが分析・提案をするスマートフォンアプリの提供も開始しています。遺伝学研究においてAIの技術は新たな発見のためには今後必須になると考えます」。

 

これまで、商社、電気機器メーカー、医療機器メーカー、インターネットサービスなど様々なパートナー企業とともに新しい市場を創り続けてきた同社。「私自身は遺伝子検査を情報産業だと認識しています。医療に限らず、先天的な条件と後天的な努力を組み合わせることで、多様なサービスに付加価値を付けることも可能になるはず」と言い、さらに幅広い分野での展開も見据えている。

 

会社プロフィール
Genesis Healthcare Asia PTE LTD
20 Cecil St #23-05 PLUS Singapore 049705
+65-6904-4936
https://genelife.asia