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WEST JAPAN RAILWAY HOTEL DEVELOPMENT, LTD. 現地の多様な旅行トレンドを掴み、東南アジアやオセアニアからの訪日外国人の 取り込みをはかる

既存の“グランヴィア”ブランドの
さらなるグローバル展開

京都、大阪、広島などで8つのホテルを展開する「JR西日本ホテルズ」は昨年12月、東南アジアやオセアニアからの訪日外国人(インバウンド)を誘致するためのセールスおよびマーケティング調査を担う初の海外拠点として、シンガポール支店を開設した。

 

“JR”というブランド力はもとより、運営するホテルのほとんどがJR西日本管内の主要駅に直結や隣接する抜群の利便性で、同社は国内のホテル業界やビジネスマンの間ではよく知られている存在だ。昨年の10月に広島空港にシンガポールからの直行便が就航し、広島駅に隣接する「ホテルグランヴィア広島」における今年4月のシンガポールからの実績は対前年比で約300%増と非常に好調だという。

 

「日本を含めた東南アジアの政治・経済情勢は常に流動的なので、“カントリーリスク”という観点からもASEAN各国と日本の窓口になるシンガポールに拠点を置きたいと以前より考えていました。まずは、この地域で当ホテルグループの知名度を上げることに全力を注ぎたい」と天津氏は話す。

 

WEST JAPAN RAILWAY HOTEL DEVELOPMENT, LTD.
Director of Sales & Marketing
天津 守氏

多様なニーズに対応する新ブランド
“ヴィスキオ”第1号がJR大阪駅北に開業

シンガポール島内外の旅行会社や企業へのセールス、各国で開催されている旅行博覧会への参加といった業務を通じ、「旅慣れした人が多いシンガポールだけでなく、タイやマレーシアといった周辺国でも旅行トレンドの多様化を実感する機会は多い」(天津氏)という。実際、これまで団体旅行がメインだった東南アジアからの訪日観光客は、近年、目的や趣向に合わせたSIT(Special Interest Tour、特別な目的に絞った旅行)を好む個人旅行者が増加傾向にある。

 

そこで、今年6月6日、JR西日本ホテルズは“宿泊主体型”と位置づける「ヴィスキオ大阪」をJR大阪駅から徒歩5分の好立地にオープン。このホテルでは、今後増加が予想されるムスリムの人々に対し、イスラム文化センター認証のハラルメニューを朝食で提供するなど、多様なニーズにも対応していく。

 

「すでに、取引先や現地社員を日本へ招きたい島内外の日系企業様からもお問い合わせを頂いています。これを受けて今後は、企業の工場視察や報奨旅行といったMICE(マイス)需要が期待される法人向けのセールスも加速させる予定」と期待は大きい。また、翌2019年春にはJR京都駅八条口南側にも「ヴィスキオ京都」を開業する予定だ。

 

現在は、8ホテル全体の外国人宿泊比率のうち約17~18%を東南アジアとオセアニアが占めるが、東京五輪開催の2020年には同地域からのシェアを20%まで上げたいという同社。宗教や慣習などの違いによる複雑な顧客ニーズに対応し、付加価値の高い受け入れ態勢を整え、自社ホテルへインバウンド需要を取り込むうえでシンガポール支店の果たすミッションは重大だ。

 

「西日本さらには“オールジャパン”の一員として、日本のホテル業界全体を盛り上げる一端を担えたらとても幸せなことですね」(天津氏)

 

会社プロフィール
WEST JAPAN RAILWAY HOTEL DEVELOPMENT, LTD.SINGAPORE BRANCH
141 Middle Road, #04-04C GSM Building, Singapore 188976
+65-6258-2902
http://www.jrwesthotels.com